1話 ここはドコ?
...ろ...お...起きろッ!
突然、身体に電流が、走る「グガガガッ」
俺は、ビックリして起き上がり「ズー、てめぇ何しやがるっ!」と叫んだ。
ズーは、雷の精霊で鷲の姿をしている。俺の顔より少し大きく、紫色の羽毛に鋭い赤い瞳。俺が、生まれた時から一緒に育った。てか俺のオヤジより長く生きているから俺の事は、今でも、子供扱いされてる。
『お前が、いつまでも寝てるからだ!』
「へいへい...んでここは、薄暗いけど何処だ?地上なのか?」
周りを見渡すと、岩壁だらけで、ひんやりとしてる。洞窟っぽい。
『いや、違う。ここは、地獄だ』
「......ドコそれ?ってか俺、落ちたよな?」
そうだ思い出してきた!地上が見れる場所にベルやマモン、みんなで...それで、裂け目みたいな穴から........
「ッッ!!皆は、大丈夫なのかっ!?」
『落ち着け。簡単に説明してやる。奴らなら大丈夫だ。襲って来た奴の目的は、お前を此処に落とす事だったろうしな…』
「穴みたいなのから襲って来た奴が、誰か知ってるのか?」
『さぁ...知らん。』とズーは、そっぽを向く。
教えたくないのか、ホントに知らないのか…まあ、皆が大丈夫なら、いいか。
それから俺は、ズーに、マゴニアに戻れるのか?地獄って何なのか?など質問をして、驚愕した。
......ここから、でれば地上だとッッ!!?
「災い転じて福となすとは、こういう事よっ!」
腰に両手をあて高笑いしてると...「「ブゥ~ン」」と虫の羽音にしては、やけに大きな音が、聞こえて来た。
ズーに視線を向けると。
『地獄に潜むハチの姿をした化物だ。刺されても肉体に影響は、ないが、精神に苦痛を与える。』
肉体に影響が無いのは、魂だけが地獄に居るから、らしい。
そして肉体は、地上で寝ていると...羨ましい!俺の肉体っ!
「それで、どうすればいい?」
『ハチ共を蹴散らしながら、この洞窟を出るぞ。恐らくだが、この洞窟は、ハチの巣の中だ。』
「げぇっ!マジかっ?」
と会話してると、俺より少し、大きいハチが、飛んで来た。腰に手を当てて、剣がない事に気付く。ああ、折れたんだった。テンペスタ流・格闘術で乗り切るか。
先手必勝!とハチの頭上に飛びあがり。
「師匠直伝・テンペストキック!」
頭を蹴り飛ばすと頭が爆散した。あっさり倒せたが、胴体が残っていて、尻のハリが、まだ動いてる。気持ち悪い...
ハチの大群が来たら、気持ち悪さで発狂しそうだな。
『呆けてないで、さっさと行くぞ。まだ分からんが、ここを出れば大きい門が有るはずだ。その門をくぐり抜ければ、地上に出れるぞ。』
「よっしゃー!!サクサク進むぞ。」
地上に出られるなら、ハチの気持ち悪さなんて、どうでもいいと思えるから、不思議だ。
足取りも軽くなってきた。気を取り直して進もう。
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ルシスが、ステップを踏みながら、先に進む。
ルシスは、黒髪刈り上げの短髪で目力のある金の瞳をしている。身体を鍛えてることもあり、最近になってがっしりしてきた。背丈は、漸くリリーを超え始めたくらいだ。
ズーは、その背中を目で追いながら、マゴニアで襲撃された時の事を考えていた。
敵は、間違いなく天使だろう。
ルシスや他の坊主達は、全く相手になってなかったが、中位級の天使だ。
しかし、中位の天使風情が、時空を歪めて穴を開ける力など、あるはずがない。
それに、ルシスを殺さずにわざわざ地獄に落とした事を考える。狙いは、なんだ?......長いこと思考していると、
「「おぉ~い!ズー、おいてくぞ~!!」」
大声を出してハチが、群がってくると思わないのか。
『『戯けっ!大声を出すな!。』』
思考を妨げられた事も相まって苛立ち、ワシも叫んでしまった。
すると、複数の羽音が、聞こえて来た...しまった。
「あ~あ、ズーが、大声だすから、どうしてくれるのさ?ん?ん?」
コイツ......ズーは、高く舞い上がり。
『いいだろう。蹴散らしてやる!……キサマモ含めてなッッ!』
「あっ!ちょッ!?ズーさん、冗談っすよ!!ま『稲妻の雨』
ズーの全身が紫色に放電して、雷が降り注ぐ...
洞窟内にルシスの叫び声と雷鳴が、轟いた。______________