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アホの子乙女とアホの子坊ちゃんの直球な恋のお話  作者: コーラルピンクフォレストグリーン
11/14

11 指導者選びの大切さ

直接的なワードが火を噴くぜ

 






「マリネさんて何歳ですか?」



 空は先程の辛辣発言と存在をなかったことにした。強引過ぎる方向転換だった。



「あ、ああ……16だが……?」



 マリネ少年は先程の好きな食べ物質問もさらりとなかったことにされたのには気付いていない。



「16歳。なるほどー」



 空はマリネ少年から自分に向けられる好意を感じ、兄から受けた英才教育を思い出していた。





 ***





「空、同じクラスの男子に告白されたんだって?」

「うん」

「どうすんだ?」

「いきなりだったしそこまで仲良くないし断ろうかと」

「そうか。いいか、空」

「なに」

「高校生になりたての男が良く知りもしない女子に告白するのはな、好きですやらせろ童貞はやく捨てたいやらせろって意味だ」

「まじ」

「まじだ。22歳までの男は大体当てはまる」

「それどこ調べ」

「俺調べだ」

「昔から思ってたけどその自信どこからくんの」

「それでな、良く知り合ってもな、好きです付き合ってくださいはやらせてくださいという意味になる」

「初耳」

「初めての教えだ。忘れるな」

「恋愛に夢も希望もなくなりそう」

「それぐらい同年代の男の性欲をなめるな」

「なるほどー」

「男子高校生なんていう性欲が溢れてどうしようもない生き物は好きとやりたいの区別がつかないんだ。馬鹿だから」

「兄さんも?」

「もちろんだ」

「思い込みやべえと思ったけどすっごい説得力ある」

「空がやらせてやっても良いと思える男なら付き合え。女はそこんとこ優秀で一瞬で判断できる」

「見たらわかるの?」

「見たらやれるかどうかわかる」

「女子すごい」

「でもな、ゴム無しでやらせてくれっていうクズは女子のネットワークを活用してクズっぷりを広めろ」

「女子をなんだと思ってんだ」

「敵に回すとやべえ生き物だ」

「なんかあったの?」

「最後だ。恋愛中に浮かれるのはしょうがない。だがリベンジポルノに注意しろ。物的証拠は残すなSNSにアップするな。次にいくときお互い余計な問題が発生する」

「そういや兄さん前の彼女と」

「そういうことだ」

「なるほどー」





 ***





 兄から教え込まれた偏った教育により、空は22歳までの男性は性欲に支配された哀れな生き物だと思っていた。

 偏見も偏見である。



 なのでマリネ少年の年齢を聞いて勝手に納得したのだ。こいつは女とやりたいだけだと。



 兄の教育の賜物なのかどストレートな下品な言葉も会得している空。

 その思い込みを助長させてしまった背景には空の見た目と性格にも関係があった。



 彼女は変なプライドもないしデキる女性にありがちな男のプライドをマイナス方向に刺激するようなこともなく、色白の日本人形のような見た目だったのである層にモテてしまったのだ。

 告白しても馬鹿にされそうにない、ああいう子が実は1番遊んでる、すぐやらせてもらえそうという悪い意味で。

 そのため兄の教えは正しかったと空は思い込みを強めていったのである。





「お礼はありがたくもらいます」



 空はこの時間を終わらせにかかった。

 しかし話が急に飛ぶのに目の前の少年はついて来られなかった。



「あ、え」



 マリネ少年は困惑していた。



「坊ちゃん、ここは引いといた方が良さそうです。魔女殿が迷惑そうにしてます」



 後方に控えていた新人の男はそこそこ酸いも甘いも経験しているので空気が読めた。



「何か失礼をしてしまったのか!?」


「さー? やっぱ権力を振りかざしたのが駄目だったんじゃないですかー?」


「そ、そんなつもりは……!」


「魔女殿失礼しました。こちら坊ちゃんからです。お金なんでさらに好感度が下がるかもしれないですが悪気はないんで許してもらえると助かります」



 新人の男は扉の前にそっと袋を置き再度下がった。



「ほら行きましょう」


「しかし!」


「撤退する勇気も必要です」


「撤退……」


「魔女殿、先日は命を助けて頂き感謝しております。それでは」



 そう言いながら新人の男はマリネ少年に立ち去るよう促している。

 偉そうにしない、しつこくする素振りもない男に、余りにもしょげている様子のマリネ少年を見て空はつい声をかけてしまっていた。



「そちらの花も置いて帰ってもらっていいですか? わざわざありがとうございました。死にそうになったらまたここに逃げ込んでもらえれば水とパンならごちそうできます。お元気でさようなら」



 そのまま扉をしめて空は倉庫に真っ直ぐ向かった。



 マリネ少年が大事そうに握っていた花束がくたりとしおれていた光景が頭に浮かび、何故かひどく悪いことをした気分だった。







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