2/2
いつかきみがすくわれるひをゆめみてる
暗い草原を、旅人が行く。
明かりのついた家から背を向けて、子ども達の笑い声を聞きながら、彼は夜道を歩いて行く。
泊まらないかと誘われたが、彼は丁寧に固辞した。彼は自分のような存在が、あの場所にいる事が場違いだと思ったからだ。
彼は進みながら、つぶやく。
「私達は、愛しあうことで別れられるだろうか。後悔をしないほどに、愛しあえなかったからここにいるのだろうか」
後ろの空に、半透明の少女が浮かぶ。
何も言わず、彼に手を伸ばし、抱きついた。
愛したヒトの亡霊を連れた旅人は、今日も歩き続ける。
久しぶりに短編を書きました。
長い間長編を書き続けていたので、新鮮です。