その叫びは森を震わせた
よろしくお願いします。
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神官長に突っ込んだコマドリは気絶し、一刻後に目を覚ましたしてアライグマ達を助けて欲しいと白金の蛇に訴えた。
「まかせてね!」とウインクすると白金の蛇はぐったりしている神官長の耳に噛みついた。
ガッブ
「あっあーー」
びくっと神官長の身体が跳ね全身が虹色に輝きだし光が収まると神官長の髪は茶色からキラキラ輝く虹色に換わっていた。
ボーゼンと鏡をみる神官長に白金の蛇は……
「ごめん!やりすぎちゃった」
「もっ戻してくださいもとの色に…」
神官長は女神様と同じ神の色は畏れおおいと訴えた。
「えぇぇーーとムリごめんね」
白金の蛇は緑の尾を震わせた。
神官長は髪を縛り法衣を深く被り髪を隠した。
「えー 隠しちゃうの似合ってると思うだけど?」
「そういう問題ではありません!」
緑の尾を振りながら語る女神の使いに目眩がしてきたが神官長は耐えた。
今はコマドリと共にアライグマ達を助けなければ…神官長は神殿の神兵を呼び出し森に向かった。実は神官長はもともと騎士として王国騎士団に所属していた経歴の持ち主であった。
神兵5名と騎獣に乗りコマドリの案内のもと森に向かった。
コマドリが叫んだー
「見付けた!」
野党達がテントを張る場所に到着すると神兵と二人ずつ三組に別れ奇襲をかけた見張り以外は眠っていたため制圧は短時間で終了した。
テントの奥、食糧が積まれた上にうごめく麻袋を見つけ中を開けた。
麻袋の中にはぐったりしたアライグマがリス達と入れられていた。神官長がそーと手で触れアライグマとリス達の状態を確かめた。軽い脱水症状と打撲だけのようであった。
水を飲ませれば目を覚ましたがまだ少し辛そうだった。キズの男に蹴られらしいので少々心配だったので念のため神殿に連れ帰ることにした。
コマドリが羽を震わせ神官長のもとに飛んでくると鳴きながら周りを飛び回った。
「いないよ」「足りないよ」
ピッピッピッピッーーー
「ナニが足りないんだい。コマドリ?」
神官長の差し出した左手にコマドリはフンワリトと停まった。
「大きな男!」「傷だらけの男!」
「ちっ一人取り逃がしたか?」
「コマドリよ仲間と共に捜してくれぬか?」
「「「サガス!サガス!」」」
神官長の言葉にコマドリは羽を震わせ飛び立った。
その様子を苦々しく睨み付ける男がいた。キズの男であった隠蔽魔法を使い木上から神官達を見ていた。男は剣を抜くと樹の枝から飛び降り神官長に斬りかかった。まさか上から斬りかかって来るとは!神官長は避けきれず法衣を斬られ仰け反るように地面に手を突いた。その衝撃で神官長の髪が顕になった。
キズの男は目を見張り動きを止めた。虹色の髪が法衣から弾けキラキラと輝いていた。
キズの男が動きを止めた瞬間神官長は剣の柄を下からキズの男の顎に叩き込んだ。
「…女神様……ぐっご…げっ」
キズの男は意識をなくし地面に落ちていった。
森を巡回する騎士団に野党を引き渡し神官長達は神殿に帰還した。
神官長は白金の蛇にアライグマ達を助けて連れ帰ったことを告げるため森の泉に向かった。
蛇はハンモックに揺られながら泉の上で眠っていた。その身体は辺りに散らばる魔石の輝きを受けキラキラと輝いていた。虹色に輝く蛇体は美しく神官長は目を奪われていた。
泉からは光が立ち上ぼり虹色に輝く蛇体を空に映し出していた。
「うつくしい…」
うん~蛇がうっすらと目を開けた。
「おはよう!神官長!どうだった」
「アライグマ達は無事に救出し神殿に保護しました」
「神官長なら大丈夫だと思っていたよ!」
緑の尾を震わせた。
「うん~神官長!ヤッパリできる男だね」
ポッンと飛び上がった蛇は白金のドラゴンに姿を変えると空に向かい叫んだー。
ゎぉぉおおおおおんんんんーーーーーーー
その声は森を震わせた。
「神官長!これからもよろしくね!」と首を傾けるドラゴンを見ながら神官長は深い深いタメ息を漏らしていた。
ありがとうございました。