女神の使い
よろしくお願いします!
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森は闇に覆われていた。
その日は珍しく夜空を厚い雲が覆いつくし美しく輝くはずだった満月を隠していた。
暗闇の中に逆さ虹の森には似つかわしくないもの達がまぎれていた。闇に紛れその身を隠し静かに獲物に近づいていた。
逆さ虹が森に架かるようになってから森は逆さ虹の森と呼ばれるようになり森を荒らす野党や密猟者が押し寄せるようになり森は荒れていった。見兼ねた神殿が王族に懇願し森に警備の兵を配置して貰い不埒者達を排除したが…それでも侵入者は後を絶たなかった。
逆さ虹の下には虹の魔石が採れる・・・
不老の花が咲いている・・・
どんな病も治す泉がある・・・
逆さ虹の蛇は神の使いだ・・・
逆さ虹の森の木には神が居る・・・
この森の生き物は虹色をしている・・・
どこからか眉唾な噂が流れ続けていた。
神殿の神官達は困り果てていた王国の騎士達が見廻るようになってから密猟者が減りはしたがなくなることはなかった。
上から声が降りてきた。
「国王にもっと厳しい罰を提案してはどうだい?例えば購入する側にも多額の罰金を設けるとか?ダメかい?」
神殿の神官長は祭壇を見上げた。そこには女神に像の前で緑の尾を震わせる一匹の蛇がいた。蛇の体は白金に輝き唯一尾の部分だけが緑色をしていた。黒い黒曜石のような瞳をキラキラさせながら声を出した。
「それともウソの噂を流すとか?」
「ウソの噂にございますか?」
神官長は言葉を話す蛇に驚くこともなく蛇と会話を始めた。
「そうだよ!ウソにはウソだよ!」
白金の蛇は緑の尾を震わせ叫んだ。
「例えば!神殿の許可なく逆さ虹の森の生き物に触れると呪われるとか?なんかイロイロ考えてよ!」
「私に丸投げですか?」
神官長は首を傾げながら蛇を見上げた。
「お願い!」
「解りました」
「さすがー神官長様!」
蛇は緑の尾を震わせた。
白金の蛇は女神の像に供えられていた葡萄をひと粒噛みつき歯形をつけた。
「これお土産!王様に上げてお姫様の目が治るよ」
「三の姫様にですか?」
「そうそう。よろしくね!」
神官長の手には虹色に輝く葡萄があった。
白金の蛇はお供え物の料理を食べだした。
「美味しい!うん~最高!」
神官長のはお供えを貪る白金の蛇を見つめながらため息を付いた。
神官長は虹色に輝く葡萄を小さな箱に納め王宮に向かった国王に神託を伝えるために……
そう白金の蛇は女神の使いであった。
白金の蛇はお供えを食べに毎日神殿に現れます。
神官長さんは白金の蛇に使えています。