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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

百合を称えよ初詣

「……やっぱり、混んでるわね」

「そうだねー」

「……って、りんったらまた歩き読みして! 没収!」

「あっ……」

「もう、なに読んでたの? ……『人生の大吉を掴む腕』?」

「そう。それは元芸人の純文学作家『漆尾うるしおヌリヌリ』が先月出したばかりの本なんだ。主人公のホームレスが、おみくじを使って一攫千金を狙うっていう話なんだけど、この物語には運勢を味方にするためのヒントが……」

「ストップ。それは今度聞くわ」

「……」


 私、赤石燐あかいしりんと恋人の夜ノ森響よのもりひびきは、空の宮市内のとある神社へと初詣に来ていた。


「ほら、順番回ってきたわよ」

「ん」



 ◆



「……ねえ」

「なに?」

りんはさっき、なんてお願いしたの?」


 隣でおみくじを結びながら、ひびきが聞いてきた。


「そういうひびきは?」

「え? ……それは、『りんが歩き読みをやめますように』よ」

「……人のアイデンティティーを侵害するのは良くない。エッセイストの門脇南陀門かどわきなんだもんも自身の著書で『良いところも、悪いところも、全部ぜんぶ、門脇かどわきなんだもん!』と言っている」

「なにその駄々っ子みたいな言葉」

「しょうがない。門脇南陀門かどわきなんだもんなんだから」

「……なによそれ」


 ……恥ずかしくて、とても面と向かって伝えられない。

 ……こんな日が、これからも続きますように。なんて。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 会話が自然で良かったです。 門脇南陀門、という名前が渋くて面白かったです。自由な発想が凄いなと思いました。
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