決着 I
ちゅうぶらりんでの投稿すいませんでした
決着というタイトルですが何回かに分かれます。
一番最初に動いたのはディノスだった。
歩きの歩調からどんどん加速していく。
残像が分身の術の様に何体ものディノスを生み出すと魔法の障壁目掛け突きを繰り出す。
「無駄じゃ無駄、『無限障壁』は儂自身にしか使えんが、いくら攻撃を受けても自動で上級防御魔法を展開し直すように設計されちょる結界のようなもんじゃ、余程の大出力で攻撃せんかぎり破る事はできんよ」
「大魔導 ルダ・バルドウン」
オオカミが老白スーツであろう人物の名前を言うとビクっと俺の手を掴む女白スーツの力が強くなった。
「つっ!」
正直物凄く痛い。
叫びそうになるのを必死で堪える俺。
「結界の中では新たな結界を展開できないのが仇となったな、展開したのが魔法ではなく上級の防御結界だとすれば何とかなっただろうに」
残念そうにオオカミが言うとそれに呼応するかのようにディノスの残像が一本の線を生み、老白スーツの周りにトグロを巻いた蛇を連想させる黒い縞模様が出来た。
「蛇蝎葬送」
技の名前だろうか、ディノスが言葉を発した瞬間、パリーンというガラスが割れるような音と共に魔法が消滅した。
「フォッフォ、、、、。」
窮地に陥ったにも関わらず老白スーツは笑った。
「完璧な魔法、、、にはほ」
大魔導ルダ・バルドウンの最後の言葉を遮るかのように彼の心臓の辺りから刀が生えた。
「クフ」
彼の口元から大量の血液が吹き出た。
「お爺様!!」
女白スーツが叫ぶ。
彼女の全身の震えが手から伝わってくる、最早手の感覚は無くなり、赤黒く変色しはじめている。
俺の手首は折れてしまったかもしれない。
「俺の事はいいから行って下さい!」
「それはできない!私の任務はお前を無事ここから脱出させる事だ。」
気丈に言い放つがその表情は言葉よりも雄弁に彼女の心情を物語っていた。
「あんたが天使なら蘇生の魔法なんてのも使えるんじゃないのか?まだ間に合うんなら行ってくれ!」
「しかし!」
「ええーーーーい」
俺は彼女にドロップキックをお見舞いした。
「なっあ!!!!」
咄嗟の事で俺を掴んでいた手を放す女白スーツ。
勿論俺の能力に飛行能力なんかないのは前に言った通りだ。
「あんたには救える力がある!
あんのに使わねーのは怠慢だ!!
一生後悔するのはあんたの勝手だが、それは未練に繋がる俺は未練を断ち切るのが大好きだーーー。」
地上に落下しながらでは説得力が無いなぁとか大好きだーとか何を言っているか支離滅裂だったが、彼女にはなんとか俺の気持ちは伝わったようだ。
落下する俺をお姫様抱っこでキャッチする女白スーツ。
彼女は俺の事をすまなそうに見つめるとまだ形を残していたビルの屋上に避難させた。
くるりと戦地に振り返る女白スーツ。
今まで押さえ込んでいた感情を一気に爆発させる。
俺の持つ霊能力とは別物の力、魔力が俺の目にも見えるよう具現化し彼女の身体を包む。
帽子が脱げ美しい金髪が逆立つ。
あらわになった風貌はやはりとてつもなく美人だった。
怒りの表情であったのはまことに残念ではあったが。
良く異世界物語に出てくるエルフというのはこういう感じなんだろうなぁと想像させた。
トンと言う音がすると彼女の姿は消え、後から衝撃が俺を襲う。
廃ビルが大きく揺らいだ、、、。
おわーーーーー俺、高所恐怖症だって!!!
屋上のドアノブに必死でつかまる俺であった。
「いってこーい!」
見送る俺の両手はふさがっている。
「貴様だけは許さん!!!」
一瞬でディノスと間合いを詰める女白スーツ。
蘇生魔法にはその奇跡的な効果から条件がいくつかあり、第一条件である死んでからの時間がその最たるもので、時間との勝負だった。
「蘇生か、、、、。」
ディノスはルダに刺さっていた刀を抜くと横に薙いだ。
「あーーーーーーーー!!!!」
両手で頭を抱え叫ぶ女白スーツ。
ルダの首はゴロゴロと地面を転がった。
蘇生の第二条件、頭と胴体が繋がっている事。
事実上蘇生は不可能となった。
「その魔力、、、貴様が万全の状態であったならば私に勝ち目などなかっただろうな。」
その場にへたり込む女白スーツ。
「ルキナ!!!立て!!!」
上空の天使が叫ぶが最早彼女には聞こえない。
彼女も蘇生不可能な状態になってしまったのだから。
「そんな、、、、、。」
さっき食べた弁当が勢いよく逆流する。
喉が熱い。
もう嫌だ、、、。
帰って寝たい。
気付くと俺の耳元に刀が押し当てられていた。
「動くな、喋るな、死にたくなければな」
ディノスの冷ややかな声が俺に向けられた。
三回位で決着シリーズを終わらせられるようにしたいです。
これからもちゅうぶらりんでの投稿をしちゃうかもしれませんが、よろしくお願い致します!!!