依頼と対価
少し強引ですが、サブタイトルに合わせて書いてみました、よろしければ読んでください。
下記は少し前に書いた物を残しているだけですのでお気になさらず。
例の如く書きかけとなります。
このサブタイトルも足かけ2話なのでこの話数で区切りをつけるつもりです。
内容もかわるかもしれませんので、気になる方はこの前書きが消えるまで読まない方がいいかもしれません。
いつもいつも遅い更新で申し訳ありません。
それにしても、、、動けなかった。
恐怖で足がすくんだ、、、嫌、確かにこの目で本物のゾンビを見たという事実は、衝撃的な事ではあったけど、もとの世界ではユラユラの中で、俺はもっとグロテスクな光景を目の当たりにしていた。
自殺の現場。
特に飛び降りや、飛び込み、そこでは霊と言われる者達は生前の姿ではなく、死後の姿で現れる。
それが自ら死を選んだ者達への罪なのかはわからないけど、自殺者の霊は大体、見るに耐えない、人間の形をした何かの姿で現れる。
だから見慣れていたというのは大袈裟だけど、マタギのゾンビ位でビビるような、肝っ玉なんて持ち合わせてはいない。
では何故なのか。
さっきまで使えていた魔法がまた使えなくなっていた。
何で?
マタギゾンビの気配に気づかなかったのが俺だけていうのはこの際どうでもいい事だけど、明らかにこちらに殺意を向けているっていうのは俺でもわかったから狼達相手に使えた魔法を発動させようと集中したのに、、。
あの時と同じように魔力を練ったにも関わらず、魔法が発動しなかった。
「・・・・ま」
・・じょうさま
お嬢様!」
「え?」
「お嬢様大丈夫ですか?」
「あ〜うん、ごめんなさい。
ちょっとぼーっとしてたみたい」
「いえとんでもありません。
辺りを一通り確認してきましたが、モンスターの気配はありませんでした。」
「ルリさんとホクトだけで行かせちゃってごめんね」
「いえ、とんでもありません、これも私の務めですから。」
「後はホクトに任せておけば、一晩位は問題ないでしょ」
「ホクトにもちゃんとお礼を言わないと。」
「いいって、いいって、あいつはマリアちゃんのナイト気取りでやってるんだから気にしないで」
「しかし、もし仮に勇者の加護が消えたとしたら、完全に安心して休む事はできませんね。
今晩は私が寝ずの番をしますので、お二人はお休み下さい。」
「そうじゃあお言葉に甘えて」
そういうと、リンネさんは焚き火の前で横になる。
素直ぉ〜そこ素直ぉ〜
まぁ、リンネさんは巻き込まれただけだから、別にいいですけど。
俺はそういうわけにはいかないでしょ。
「いやいやいや、ルリさんダメだって、ルリさんだって魔力枯渇を起こして間もないんだから、休まないと。
私が起きたの一番遅いんだし、私が番をするよ」
「いえ、お嬢様、夜営、徹夜には慣れていますので、お構いなく。」
「嫌、女性にそんな事はさせられないって」
「じょせいに?」
「・・・ん?・・・」
「あ〜〜もぉ、うるさくて寝れないから!
番はホクトに任せておけばいいって言ってるでしょ、どうしてもやりたいなら、二人で交代でやれば?」
プクーっとほっぺを膨らませて可愛いむくれっつらをしたリンネさんがバっと上半身を起こし抗議する。
「ごめんなさい」×2
「わかればよろしい、じゃぁお休み〜!」
そして、グッジョブ、リンネさん。
「じゃあ、最初は私が番をするから、ルリさんが先に休んで」
「本当によろしいのでしょうか?」
「問題ないよ、警戒はホクトがやってくれてるし、私は火の番だけだから、それに、狼からルリさんを守ったのは誰ですか?」
「お嬢、、、さまです。」
「じゃあ、素直に休んで下さい。」
「はい、でも本当に何かあったら起こして下さいね」
「はい、わかりました」
そういうと、ルリさんもその場に横になる。
数秒経っただろうか、ルリさんから寝息が漏れてきた。
はやっ、、。
冒険者はいついかなる時でも寝れるように訓練するって本当なんだなぁ、などと思いつつ、その綺麗な寝顔に見入ってしまう。
こういう状況でなければ、この寝顔が側にあったら男は幸せを感じるんだろうなぁ、、、、。
俺は無意識にルリさんの頭に手をやりひと撫でする。
パチッ
火が弾けた。
俺は体を起こし枝木を拾い火にくべる。
・・・・
腰を下ろし、掌を見つめる。
力を確かめるようにグーパーと開け閉めしてみるが、やはり何の変化も起きない。
何で?
「不安かい?」
「はぁい?」
驚いて隣を見ると、リンネさんが座っている、本当にいつの間にという短時間の事である。
「魔法使えないんでしょ?」
「え?」
「ま・ほ・う」
「どうして、、、そう思うんですか?」
助けてもらったとはいえ、100パーセントの信頼ができない。
自分達を守るために誤魔化す事も必要だろう。
人間不信気味、、、そんな自分に嫌気がさす。
どれもこれも、あいつらのせいだ。
あ〜本当にむかつく。
「あ、突然ごめんね。
マリアちゃんの中に魔力と魔素、相反する力の存在を感じたからさ。
それに今は一方の魔素の量が魔力をだいぶ上回っていてバランスを取れていない。
それじゃあ、まるでだめ。
そんな不安定な状態じゃぁ魔力を糧とする魔法だって使えっこない、、、と思ってね。」
「・・・」
「まぁ、普通の人間なら、魔素が少量でも体内に入っちゃったら、呪いだぁ、なんだで、動く事さえできないだろうね。」
「そうなんですか?」
「魔素は、魔人やモンスターにとっては力になるけど、人間にとっては、簡単に言えば毒のような物だからね。」
「毒。」
「マリアちゃん、ボクからすれば今の状態の君が生きている事の方がボクの精霊魔法なんかよりもよっぽど奇跡だよ」
「・・・何かのスキルですか?」
「何が?」
「私の力が見えてるんですよね?」
「う・・・・ん、でも魔力回路の流れが見えてるだけで、その可愛い胸だとかは見えてないからご心配無くね」
リンネさんが可愛く笑う。
でも言ってる事はエロオヤジのそれですから。
「ぷっ」
「え?今の笑うとこなの?
てっきり怒られるかと思ったんんだけど。」
「怒りませんよそんな事じゃ」
「じゃあ、ムフフ、見るだけじゃ無く直接触っても?」
「流石に怒りますよ」
リンネさんがワナワナと両手を広げて見せてきたので、軽く避ける。
「う〜マリアちゃんのいけず〜、いいじゃん女同士なんだし、減るもんじゃないじゃん、ブーブー」
嫌、本当にこの人ただのエロオヤジだよ。
「はぁ〜減るんです色々と」
「例えば?」
「はいはい、この話はおしまいです、おっしゃる通り、私は魔法が使えません、でも魔素は、リンネさんに助けていただいたよりも前に、私の中から消えたはずです。」
「でも消えていない、、、。
という事は、その量の魔素が、数時間で、マリアちゃんの中で生成されたって事になるね。」
「・・せいせいですか?。」
魔素はリョーマからの借り物のはず、あいつに力を寄越せっていって、渋々のリョーマから譲渡された力。
それも全部アラケニアさんの若返りに使って、俺の中からは全部消えた筈。
それが俺の中から生成されたって?
俺は思わず頭を抱える。
どういう事だ、リョーマ、あいつ一体俺に何をした?
「マリアちゃんって、人間なの?」
この人本当に、聞きずらい事をはっきり言う。
「人間ですよ」
一部からは魔王様なんて言われていますけど正真正銘人間です。
「昔、、すごーい昔、それこそ精霊が人と一緒に暮らしていた位昔、相反する力を持った人物がいたって伝説があってさ」
「え?」
「正確には、魔人と人間のハーフなんだけど、そいつは相反する力を見事に融合させて、このルゼリウド大陸を支配していた。」
「王様だったの?」
「正確には魔王だね」
「マオウ」
「初代の魔王、祖たる者だね
彼は何百年もの間、その力をもって大陸を支配し続けていたけど、ある時、終焉を迎える。」
「・・・」
「彼の中で力のバランスが崩れたのさ、魔素が増大し、暴走、魔力が喰われた。
そこからなし崩しに魔王は人々にとって真の恐怖へと変貌を遂げる。」
「その後は?」
「推して知るべし、、、かな?」
「で、今の話は私の中で起こってる事とどんな関係が?」
「え?別にないけど」
「え?」
「別に、いい暇つぶしなるかなぁと思って話しただけだけど」
「ええ〜」
「かっっかっか、じょーだんですぅ〜、魔人となんらかの関係がない限り、普通の人間の身体じゃぁ、死んじゃうか発狂するってのが定番だからさ、血縁にモンスターかなんかがいないかなぁって」
「いるわけないじゃないですか!
魔人ならともかく、モンスターって!」
「かっっかっか」
マリアの記憶を探れるだけ探るが、そういった事実はなかった。
俺が限られた記憶の断片しか見れないかもしれないが、マリアは正真正銘、100パーセント純粋な人間のはずである。
「でも、これでも私、ちょっと前迄勇者候補の英雄だったんです。
それが、何か影響しているんでしょうか?」
「へぇ〜あんな弱っちぃモンスターの気配も碌に察知できないのに?」
「え〜そうです、弱っちいモンスターの気配も碌に察知出来ないヘタレ、、、、ただの町娘です。
一回死にかけて、記憶も力の使い方も忘れちゃいました!」
「怒った?」
「い・い・え」
「ごめんごめん、マリアちゃんからかってたら面白くてつい・・・ね」
ついねじゃないよ、全く、言い方がいちいち可愛いんだよな、ちくしょー、怒るに怒れないっつーの。
あ〜世間の男達がアイドルだの二次元の女子キャラにハマる心理が今の俺になら分かる!!!
「英雄だった事は、影響ないんじゃないかな、むしろ一回死にかけたっていう方が気になるけど。」
流石リンネさん、鋭い。
幸い火の番だけしかやる事が無かったので、これまでの経緯をリンネさんに語った。
「呪いかぁ」
「呪殺の印、って言われているらしいです」
「マリアちゃんは、その呪いをかけた人間に復讐したい?」
「そうですね。」
それが、マリアの身体を貰う対価、俺はそれを必ず果たさなければならない、この世界での唯一の俺に課せられた使命。
「分かった、じゃあ、その復讐、このリンネ姉さんが手伝ってあげる!」
「・・・・え?」
胸を張り、ドンっと右手を打ち付け、任せなさい!とドヤ顔で主張するリンネさん。
というかそういう会話の流れだっけ?
「っていうのは建前で、まぁ暇だし、マリアちゃんについていけば、退屈しないかなぁってね」
「え・・・いやその、まだ復讐相手も特定出来ていませんし、そもそも、私、これから自分の家に帰るだけなんですけど。」
「まぁ、まぁ、まぁ、じゃあ、お試しでボクを護衛として雇ってよ。」
「護衛ですか?」
「そう、マリアちゃんと、エルドルアさんを無事お屋敷に届けてあげる」
強引な営業だ、、、でも、リンネさん程の人が側にいてくれたら、凄い心強い、何より、俺のことはともかく、実質俺の護衛であるルリさんの負担が少しでも減るならそれに越したことはない。
「凄い有難いお話ですけど、リンネさん程の人を雇うというのは」
「あ、寝るとこ、食べ物、、、とお酒さえ用意してくれれば、それでいいよ、もちろん町とかで泊まる時でいいから、野営の時はボクも率先してやるし。」
「それって、実質タダって事じゃないですか?」
「ボクはマリアちゃんの笑顔が見れれば、それで満足だよ」
「・・・・」
「かっっかっか、それじゃあ、逆に信用出来ないって顔してる」
「ええ、タダほど怖いものは無いっていいますしね」
「じゃあ、ボク一文無しだから、次の町で、装備一式揃えてもらおうっかな
この服装じゃぁ、悪目立ちしちゃうだろうし」
と言いながらリンネさんは立ち上がりダボダボの服を引っ張ってみせる。
「それに」
リンネさんが右手を差し出し、握手を求めてくる。
俺がそれに応じ、リンネさんに右手をとった瞬間
「か、、は、。」
急激な脱力感を感じた。
そう、あの時アラケニアさんの額に触れた時と同じ脱力感を。
「ふぅぃ〜」
「リンネさん、、、、今のってまさか」
「うん、マリアちゃんの中にある魔素、吸収しちゃった。」
ペロリと舌を出し小悪魔的な笑顔を見せるリンネさん。
って、それどころじゃない!!
「ええええええ!!
今さっき自分で毒、って、いい、言ってませんでしたっけ
?
大丈夫なんですかリンネさん?」
俺が、リンネさんの肩を両手でブンブン揺らしながら問い詰めると。
俺に揺らされながら何か考えた末に、答えが浮かんだ様で、パッとリンネさんの顔が明るくなった。
「せーれい、そー!!
せーれーに頼んで、浄化してもらいました」
そんな答えって、しかもあんた今吸収いいましたよね?自分で。
「このように、ボクがマリアちゃんの中の魔素と魔力が安定して融合するまで、定期的に浄化してあげれます!」
と両脇に手を当てエッヘンポーズを取るリンネさん。
「あなたは、一体、、何者なんですか?」
「ボクかい?
もちろんボクはマリアちゃんの勇者だよ
これから宜しくねマリアちゃん」
差し出された手を俺は握った。




