安眠を守る為に俺に出来る事
短く、修正するかもですが、30話完成?です
よろしければお読みください
パチパチパチ
「うおっ!」
眼前に鬱蒼と生い茂る林、、、森か?
薄暗い森の奥からたまに物音がする度にこれかよ、、、。
何が守るだ。
これじゃ、守るこっちが心労でどうにかなる。
はぁ・・・・情けない気持ちでもう一杯一杯だよ。
視線を下に移すと俺の膝枕の上でスヤスヤ寝息を立ててるルリさんがあどけない寝顔を俺に向けている。
「こんな情けない奴信用しちゃ駄目でしょ、、、。」
ルリさんが魔力枯渇の為にこの状態になってからもう2、30分位たっただろうか、気付けばポカポカな太陽の日差しが真上よりも西に傾き始めている。
「もう昼過ぎかぁ、、、」
ぐうう。
人間どんな状況でも腹は減る、、こちらの世界に来てから改めて実感した事実。
「エルザさん、、今日の昼食は何だって言ってたっけ」
・・・・・。
いかんいかんにかーーーん!!!!
現実逃避し過ぎてた。
最低でも後二時間はこの状況は続く筈、、。
こんな序盤でへこたれてたら本当に精神と身がもたない。
あのアラケニアさんの物言いではこれから何かしらと争う事になるんだろうなぁと思い、憂鬱と恐怖が込み上げてくる。
ルリさんの柔らかくすべすべな髪の毛を優しく撫でながらそれを抑えると、メイド帽子に手をかけゆっくりと起こさないように取る。
テコでも起きないって言ってたけど念の為にね。
「うーーん」
以外と小さい、、、、。
まぁそれは仕方ないので丁寧に丸めて膝枕の代わりの即席枕を作り、ルリさんの頭を持ち上げて地面に直接置きその上に寝かす。
途中、ルリさんが起きてるんじゃね?と疑う程激しくうなされていたが、そこはスルーしてみる。
「ごめんね」
俺はそう言ってその場に立つと、ワンピースについた泥をパンパンと払う。
軽い痺れを両足に感じながら辺りを改めて見回してみた。
崖、森、割れた岩、、、、。
この数時間で濃いめのファンタジー成分が俺の許容を超え溢れそうになっている。
「別の意味でお腹一杯だなこりゃ」
屈伸、伸脚、足首回しをして、トントンと跳ねてみる。
痺れは大分取れたが、いかんせん靴ではなくモフモフのスリッパを履いている為動きがぎこちなくなる。
俺にも、身を守る方法がないわけじゃない、もとの世界で祖母に霊能力の扱いと同時に習った護身術、杖術。
祖母曰く。
「日本じゃ銃刀法だぁなんだとうるさいからねぇ、棒切れなら誰も文句言わないから丁度いいんだよ、探せばそこらに落ちてるしねぇ」
事実、祖母が霊力を流して強化した棒切れは、鋼よりも硬く、竹のようにしなやかという矛盾した凶悪な武器に変化した。
俺はといえば、鉄パイプ程度の硬化には成功したが、しなやかさを再現しようとすると、ポキっと折れてしまって
「おはなしになりませんなぁおほほほ」
などと祖母に揶揄されたのを覚えている。
「打つ、突く、払う」
この三つの基本を祖母からみっちりと仕込まれたっけ、それこそ何千何万回繰り返した事か。
今考えてみれば、本当に虐待すれすれだよなあれって。
まぁそのおかげで元の世界でのユラユラ対策にもなったし、今、この場でルリさんを守る助けになる、、か。
「サンキューばあちゃん」
「さてと、、、。」
森に向かうと少し入った所に手頃な棒切れが落ちていたのでそれを拾い上げ、足早に元いた場所に戻りブンブンと振ってみる。
「ラッキー、丁度いいじゃんこれ」
問題はここからだ、所詮棒切れは棒切れ、今以上に乱暴に振ればポキっと折れるのはまず間違いない。
これに、霊力を流すじゃなくて、魔力を流して強化しなくてはならない。
さっきアラケニアさんに俺の中にあったリョーマからの借り物の魔素を全部吸収してもらったから、俺の中にはマリアの魔力しか残ってない筈。
「それなら」
俺は静かに集中し右手に持った棒切れの槍でいう石突から穂先にかけて意識を張り巡らせ魔力を流してみる。
スキル 「エンチャント 初級」を入手しました
「おおおおお!!!謎アナウンスきたーーーー!!!
よっしゃーーーーー!!!
俺やれば出来る子!!!!」
嬉し過ぎて思わず声に出してしまった。
咄嗟に周りを確認するが、ルリさんは相変わらずスヤスヤご就寝中で誰も聞いている様子は無い。
「やばいやばい、でも、嬉し過ぎるでしょこれ」
与えられたオモチャを嬉しそうにぶん回す子供のように強化された棒切れをブンブン振るう、硬さは鋼、しなやかさは竹には及ばないが、もとの世界にいた時よりもましな強化はできている。
「打つ、突く、払う」
を掛け声に、久しぶりに一連の動作を行なってみる。
予想していた事だが、こちらは数回基本動作を行なっただけで息が上がってしまった。
スキル 「杖術 初級」 を入手しました
「はぁ、はぁ、はぁ、、、何でもスキルにまとめちゃうけど、ややこしくならないかね?
膝に手をつき前屈みになると、地面に汗がポタポタと落ちる。
でも、、、、こりゃやばいかもな、ある程度予測してたけどここまで体力が落ちてるなんて。
まぁ、死にかけてたんだから当たり前といえば当たり前か」
額から流れる汗を左腕で拭いながら、数週間前には死にかけていた事実を思い出してみる。
それを思えば、ここまで動けるだけ回復したのも奇跡に近い。
「皆んなに感謝だな」
気を取り直し上体を起こすと、左の掌をグーパーグーパーと開け閉めしながら、込み上げる心臓のバクバクとワクワク感を抑えるように深呼吸してみる。
「今なら出来るよな、魔法」
俺は棒切れを左に持ち替えると、右手を伸ばし掌を開く
「来たれ!」
ガサガサパキバッキ
不意に音がなったので、魔法発動を中断し、そちらに目をやる。
森の奥、嫌、今度はすぐそこにそれがいた、嫌、ソレ等か。
「クソ、、、。」
集中し過ぎて気づかなかった。
森から顔を出したのは、小刻みに息を吐きヨダレを垂れ流している、狼の群だった。
よろしければ、評価、ブックマーク感想等お願い致します。




