スープ
「ああ、、、。」
口から漏れだす嘆息。
震える息遣い。
手のひらに乗せられた俺の手がまたスルリとベットにパタンと落ちる。
もう5度目だぜ、諦めろよおっさん、、、。
先生の顔は青ざめるのを通り越して冷や汗でビショビショになっている。
逆に手は氷のように冷たく、血の気が引いてしまっていた。
「あの、、先生、、、、。」
いたたまれなくなったのか、父親が先生に声をかける。
「なん、、、で、、しょうか?」
声が裏返る先生。
もうどこから見ても挙動不審なヤバイおっさんにしか見えない。
「マリアの意識も回復したようです、先生も別室でお休み下さい。」
「いえ、それならば、ルーエルト様の方がお疲れでしょう、お嬢様の事は私に任せて皆様お休み下さい。」
「いえ、先生の方こそ」
「いえいえ」
「いえいえ」
「いえ・・・・」
長いって!!、一体いつまで続けるんだよこのラリー!!!
そこにコンコンとノック音が鳴る
扉が開き先程の恰幅の良い使用人さんが銀色のトレンチに乗せられた皿を持って入って来た。
ナイスだ!使用人さん!!
「失礼致します」
と言うと使用人さんは父親とおっさんの間に割って入り、最短距離で、俺の元に来るとトレンチを置き、手際良く俺の身体を起こした。
「今朝採れたてのコマの実のスープでございます、我々使用人の食事ですので、お嬢様のお口に合いますかどうか不安ですが、どうかお召し上がり下さい。」
というと、スプーンで掬いおれの口元に運んでくれた。
皿にはんのり黄色味が混ざった白濁した液体が入っている、見た目は、俺の世界でいうところのコーンポタージュのような感じだった」
俺は弱々しく口を開ける、舌先に液体が触れた瞬間
何これ!!!うんまっ!!!!
空腹は最高のスパイスだーなんて誰かが言ってたが、まさにそれ以上、空腹スパイスを通り越して、うまい!!
味はまさにコーンポタージュなんだが、なめらかで濃厚、この甘味はスイーツを飲んでいるような感覚になる。
生まれてこの方味わった事の無い、スープだ、だよな。
気づくと俺は使用人さんから皿を奪い、一心不乱に食べていた。
スキル 「九死一生」を入手しました。
そんなことよりまずは飯だ!!
俺は空になった皿を使用人さんに渡すとニッコリ笑う。
使用人さんは目に涙を浮かべながら。
「すぐにお代わりをおもちします!!」
と先程より早いスピードで部屋を出て行く。
スープの余韻を楽しみながら俺はおっさんの方に視線を飛ばす。
おっさんはビクッと背筋を伸ばすと、俺の方に向き直った。
「・・・・・・・・」
ニコッ
俺は最高の笑顔をおっさんに送ってあげた。
どさっという音と共におっさんはその場に崩れ落ちた。
ワナワナと震え、冷や汗が止まらない様子だ。
「せ、、先生」
父親はその姿に狼狽したが、すぐに先生に手を差し伸べる
だが
「ひぃっ」
とおかしな悲鳴をあげて先生は父親の手を払ってしまう。
「あ、、あ、、、私は、、。
はっ!、、、そうだ!!本日はお嬢様のお加減も宜しいようですので、この後も予定がありますので、今日は失礼致します。」
そうだって、、とってつけすぎだろうがおっさんよ
「は・・・・はい」
先生の剣幕に気圧されると父親は道を開ける、服の裾につまづきそうになりながら、そそくさと部屋を出て行く先生。
スキル 「威圧」を入手しました。
さっきから、頭にアナウンスが流れる。
だが今はそんなことより!!
ノック音と共に使用人さんが入ってくる。
飯の方が大事なのだ!!




