金のタマゴだったお
なんだこの状況…脂汗が止まらない。
ここがヨーロッパと仮定して…俺はこれからどうすればいい。
取り敢えず所持品の確認だ。
背中に背負ったリュックを地面におろして中身を確認する。
お菓子一袋に飲みかけのお茶とスマートフォンとそれからお財布。
金は財布に入っている3,530円だけ…カードは家に置いてきているから持っていない。
まあ金を持っていたところでヨーロッパじゃ会話も成立しなさそうだが…
えーと…まだ何か持ってきてたかな…
リュックの中に手を突っ込んで改めて中を確認する。
「うーん………は? 何この硬くてすべすべなの…ええちょっと何怖いんですけど」
硬くてすべすべな何かがリュックの一番下に鎮座していらっしゃる。
これが何かはわからない…そもそもこんなもの入れた覚えがないのだが。
こんな得体のしれないものいつリュックに入ったんだよ。
本当にどうなってるか誰か説明してくれよ。
次の瞬間、すでに半泣き状態の俺をさらに追い込む事態が起こる。
………コンッ…コツンコツン…ゴロゴロ………
「ヒィッ!!? 何これちょっと動いた!!!!」
なんとリュックの奥底にいらっしゃるソレが動いたのだ。
なんだよこれ…ひょっとして生き物なのか!?
超怖いんですけど…もうこのリュックに手とか入れたくないんですけど………でも……
このリュックはこれからも使う。
物を持ち運ぶのには不可欠なアイテムだから捨てるわけにもいかない。
かと言ってこんな得体のしれないものを入れたまま使用し続けられるほど俺の肝は座ってない。
「こ…怖いけど…取り出すしかないか………」
ビビりながらも俺は両手をリュックの中に突っ込んだ。
こ、怖ええええええ!!
本当に生き物だったらどうしよう、いきなり噛み付いてきたりしないよね。
不安の中リュックの奥に手を進めるとまたあの謎の物体に触れた。
大きさは拳より少し大きいぐらい、手触りはすべすべしていて陶器を触っているみたいだ。
「どれ…重さは…おおっ結構あるな!!」
5キロ…いや10キロぐらいはあるかもしれない。
てか探れば探るほどますます得体が知れないぞこれー!!
よし…もう1、2の3で取り出そう。
そんで何処か人目につかないとこまで持ってって速攻投棄しよう。
「ふぅ…よし行くぞ、1、2の…3ッ!!」
両足を踏ん張ってまるで野菜でも抜くかのような体制でリュックから謎のソレを取り出した。
「よっしゃ取れた…で一体なんなんだこれ………は?」
中から取り出したソレを両目でまじまじと確認した俺。
しかし、ソレを見たことによって俺の中での謎はさらに深まる羽目になった。
「何…これ………タマゴ…なのか!?」
リュックの奥底に入っていたそれは、とても大きな“黄金色に輝くタマゴ”だった。