ヒゲ
暖かい毛布の感触が俺の全身を優しく包む。
それについては最高の一言に尽きるが…何故毛布の感触が全身に感じられるのかはイマイチ理解出来ない。
あれ…俺って外に居たんじゃ無かったっけ?
ゴロツキにリンチされてた所をケモミミ美少女に助けてもらって…
それからその少女の膝上で昇天して…
目を開けないままこうして悩むのも効率が悪いだけか…
そう思い、俺はゆっくりと目を開ける。
うわッ目やに痛ッやばいまつげ引きちぎれそう!!
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「う…うーん……….」
「おっ気がついたか異世界人!」
二度の気絶を経て、意識を取り戻した俺の眼前にいたのは、同じケモミミでもゴリゴリのおっさんのケモミミだった。
ウタカタさんだ。
「俺を助けてくれた美少女が…ゴリゴリのヒゲオヤジになっちまった」
「何言ってんだお前…ヒゲオヤジとか失礼なやつだな。玄関先で寝てるお前をベットまで運ぶのは大変だったんだぞ?」
「玄関先?」
違和感が声となって出てしまった。
それはおかしい…うん本当におかしい。
俺が気絶したのは美少女の膝の上で、しかもこの家とはかなり離れた場所だったはずだが…
「ウタカタさん! 俺の横に誰か居ませんでしたか? 例えば…14~16歳ぐらいの狐耳の美少女とか」
「誰かと訪ねるわりには随分細かく指定してくるな…うーん…いや誰も居なかったが、それがどうかしたか?」
どうなっているのだろう。
ひょっとしてあの子が俺をここまで運んでくれたのかな?
でもあの小さな体でそんな事出来るか?
それに運んでくれたのだとしても何故ウタカタさんの家に運んでくれたのかという疑問もある。
「どうなってんだよ??」




