タマゴ失踪
晩御飯をご馳走してもらったせめてものお礼に、俺は家事という家事すべてをした。
皿洗いに始まり食器の片付けから洗濯物の片付け…
そして、今はお風呂を掃除した後に湯船に水を貼り、薪をくべて温度調節をする作業をしている。
燃え盛る炎に必死に息を吹きかけて熱量を保つ。
これが想像していたのよりずっとハードだ。
今俺がいるのは家の外なのだが、炎に近い場所での作業という事もあってもう全身汗だくだ。
「ふんふーん♪♪ふーん…んんいいお湯だなー」
風呂場からウタカタさんのご機嫌な鼻歌がきこえてくる。
「どうですかー湯加減は!!」
「んんー最高にいい感じだ。もう家に入ってくれて大丈夫だぞー」
「そうですか…じゃあ奥さんに別の仕事が残ってないか聞いてきます」
「おいおい、にいちゃんは一応お客様なんだからゆっくりしててくれていいんだぜ? 今日は色々とあって疲れてるだろ?」
「いえいえいいんですよ。今の俺にできるのはこれぐらいしかありませんから」
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またしばらく色々なお手伝いをした後に、ウタカタさんの奥さんであるマタタビさんにたたんだ洗濯物を持って行った。
マタタビさんは居間のソファーで紅茶を嗜んでいた。
「洗濯物たたみ終わりました」
「あらご苦労様です。ごめんなさいね私の仕事なのに手伝ってもらっちゃって」
「いいんですよ…俺が手伝わせてくれって頼んだんですから気にしないでください。他にまだ手伝う事はありますか?」
「もう全部終わりましたから大丈夫です。お布団を敷いておいたのでお風呂に入ってゆっくり休んでくださいね。着替えはウタちゃんのを一着借りて用意したのでそれを着てください」
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて…」
「ああその前にっ!!」
「なんです?」
「お連れの“タマゴちゃん”を見てないかしら? さっきから姿が見えないの」
「さあ…外でもほっつき歩いるんじゃないですか?」
「そうかしら…心配ね」
マタタビさんはそう言うと心配そうに窓の外を見つめた。
「多分大丈夫ですよ。あのタマゴあの見た目でかなり強いですから」
そうだあいつはあんな見た目でバカ強いのだ。
変な奴に絡まれても十分返り討ちにできるだろう。
何も心配する必要はないのだ。
「いや….あんな奇妙な見た目だから警察とか騎士団に補導されたり連行されてないか心配で………」
ああ…そっちの方の意味で言ってたんですか………
どうやら俺とマタタビさんの不安視している部分は根本的に違っていたらしい。
そう言われてみれば確かにそうだな。
俺がもし巡回している警察なり騎士だったらあんな絵に描いたような不審者100%職質なりなんなりをしている。
そう考えると急に不安になってきた。
「………すいませんマタタビさん。俺ちょっと外行って探してきます」
ああまったく…どこまでも世話の焼ける# タマゴ__やつ__#だ。
面倒ごとになる前にさっさと見つけて連れて帰ろう。
幸いあの見た目だ。
ここら周辺で聞き込めば大量の目撃情報間違いなしだ。




