恋
キーンコーンカーンコーン……
授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「よっしゃー!やっと授業終わった―」
江口君が勢いよく立ちあがる。
「江口、授業中は寝ないほうがいいって言ったのにまた寝てたでしょ」
柿沢君が呆れた調子で言った。
「別にいいだろ。昨日の夜ずっとゲームしてて眠かったんだって」
「またか」
江口くんと柿沢くんはほんと仲いいなあ……
なんて思っていたら、
「唯~」
恵が廊下で手を振っているのが見えて、思わず笑顔になる。
「恵っ!一緒に帰ろ」
4人で帰っていると江口君が言った。
「おっ、そーだカラオケ行かね?」
「あ、ごめん今日早く帰らなきゃいけないから」
「私もお母さんに買い物頼まれてるから」
「なんだよ、海斗も恵もノリ悪いな」
そう言い、江口くんは私を見る。
「唯は行くよな」
言うと思ったけど。
「ごめん、あたしもパス」
「なんだよ、みんなして俺をいじめんのか」
「いじめてないけど……」
入学式から2週間、私たちはもうすっかり高校生活に慣れてきていた。
そして今では私、恵、柿沢君と江口君という4人で行動することが多い。
「しゃーねーなー、次は来いよ」
「「「はーい」」」
「じゃあ今日はこのまま帰るか」
そんな感じで話しながら帰って恵と2人きりになった時、恵が言った。
「……あのさ唯」
「うん?」
恵は顔をすこし赤らめながら言う。
「私、好きな人ができたの」
「え!?うそ誰?」
あたし達は、白いライラックの花が咲いている道を歩く。
「うーん……それはまだ秘密」
暖かい風が2人の間を吹き抜けた。
「なんでー?」
「また今度ね」
ふーん……好きな人かあ
できたことないなー
恵と別れた後にそんなことを考えながら家に帰った。