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この世界で生き残るために  作者: スタ
一章 前世との決別
9/61

精霊について

 早く投稿しますとか言っときながら、嘘ついてごめんなさい。

 遅くなりましたが一話投稿です。

 前回の続きとなります。

 


「ねえ聞いて。彼も星が好きなのよ。好きなものが一緒だなんて嬉しい。」


 今までは星について耳にタコができるほど聞かされていたけれど、今度はその助けてくれた王子様とやらの事ばかり。

 正直聞き飽きるほどでため息が出そうなんだけれどね。


 それでも、うんざりするほど聞かされたって貴女の事を嫌いになんてなれない。

 貴方の事が大切だから。


 苦笑交じりに貴女の恋を見守った。

 ま、この後その彼の事ばかり話されて辟易した私は逃亡を図るんだけれどね(笑)。







 ***




「精霊を嫌悪していないような言い方をするんですね。」

「ん~そうだね。」

「・・・・ダリル先生は精霊のことをどう思っているのですか?」

「エルゼリーゼちゃんは精霊についてどう思う?」

「精霊について、ですか?」


 自分一人で納得している彼にしびれを切らして声を掛けてみる。すると返ってきたのは生返事。その事にムッとしながらも気になったので質問したら質問で返されてしまった。

 その質問があまりにも漠然としているので、実際に質問されたら困ってしまう内容だ。

 私が頭を悩ませていると、ダリル先生は小さく苦笑しながら補足してくれる。


「えっと、精霊が見えるエルゼリーゼちゃんにとって精霊はどういう風に見えるんだい。」

「私から見た精霊、ですか。」

「そう、どういう訳か知らないけれど、精霊の見える人間がこの時代少なくてね。昔はそうでもなかったみたいだけれどね。」

「そうなんですか。」

「うん、僕も精霊が見える人はエルゼリーゼちゃんが初めてだよ。それで、エルゼリーゼちゃんから見た精霊ってどういうものなの?」

「私から見える精霊ですか・・・・何と言うか、ふわふわとして、掴みどころが無いけど、私が悲しい時や寂しい時には励ましてくれて優しい、何時も傍に居るのが当たり前の存在、でしょうか。」

「へぇ、興味深いな。」


 私の答えに何処が面白かったのか彼はニコニコと微笑んでいる。

 私はそんな彼に首を傾げた。


「エルゼリーゼちゃんは・・」

「エルでいいですよ。」

「それじゃあ、エルちゃんは精霊についてはどれくらい知っているんだい?」

「どれくらい、ですか・・・・・・魔力(マナ)には二種類あって、生き物が独自に作り出す魔力ともう一つ自然界で作られるマナそのマナの塊が精霊ですよね。」

「そうだね。ただ、マナの塊と言うだけで精霊と一概には言えない。マナの濃い場所やマナの溜まり易いところもある。でもそれを精霊とは呼ばないだろ。精霊がどうやって生まれるのかは知らないが、精霊とはマナの塊に意思が生まれて精霊となるんだと思う。その力は精霊によって個人差はあるもののただそこに在るだけのマナとは違い大きな力を持っているんだ。自然界のマナが乱れる自然災害なんかは精霊の仕業じゃないかって今も噂されるほどだけど、精霊の見えない僕達じゃ分かる訳も無いけどね。」

「・・・・・。」


 ダリル先生の話す精霊があまりにも凄すぎて唖然としてしまった。


 え、あのフワフワとしてて可愛らしい精霊さんが?

 本一つ動かすのにも大変そうなのに?

 自然災害が精霊の仕業とか笑えるんですけど。

 否、実際いろんな意味で笑えないんですけどね。

 いやぁ・・・・・嘘でしょ?


「エルちゃんは精霊術師を知ってるかい?」

「精霊術師?魔術師では無く?」

「魔術師と精霊術師は全くの別物だよ。魔術師は己自身の魔力を使って術を行使する者のこと。精霊術師は精霊を使役して自然界のマナを操るんだ。自然災害をも起こす精霊を操ることの出来る精霊術師は災いを呼ぶと忌避されているんだ。」


 確かに精霊術師一人いるだけで自然災害を起こさせられるのなら恐れるのも頷ける。

 自然災害なんてちっぽけな人間が敵う相手ではないもの。


「でも、僕は精霊術師全てが悪だとは思わないな。とても古い文献には、雨乞いや嵐を鎮めたりと人々を助けていたらしいんだ。昔は、精霊術師は魔術師と同じくらい身近にいたのかもしれない。そう考えると精霊術が悪いばかりではないと思うんだ。」


 昔は精霊術師も沢山いたのか・・・・。


 と言うか、ダリル先生が精霊のことを知り過ぎてて吃驚です。


「ダリル先生は精霊に詳しいんですね。」

「そうかな。」

「そですよ。」

「でも僕より精霊のことに詳しい人はいるよ。」

「そうなんですか?」

「ああ、僕の三歳上の先輩でね。」

「先輩ですか?」


 さっきも先輩って言ってたけれど同じ人かな?


「そう、僕も彼から精霊の話を聞いたんだよ。」

「そうなんですか。」

「彼は精霊について研究していてね、精霊は嫌われているから表立って研究出来ないんだよね。ただ、遺跡と精霊には関係があるらしくって、今は魔術研究所で新たに部署を作って遺跡研究の名目で研究してるよ。」

「新たに部署作ったんですか?」

「うん。彼は学院でも術具師の奇才とまで言われた人でね、当初は術具開発支部に配属だろうって言われていたんだけれど本人が嫌がってね。自身の研究が出来ないなら研究所に就かないとまで言って周りを騒がせてたな。それで研究所の方が、彼の研究が出来るように新しい部署を作る代わりに術具開発支部にも属して偶に術具の開発をしてもらうことで妥協してもらったんだって。」


 いやはや何とも・・・・・。

 それにしても


「そんなにしてまで入れたい人だったんですか?」

「エルちゃんはまだ知らないかな?最近広まった亜空間鞄。鞄に術式を施して通常よりも大量の容量を入れられることの出来る鞄でね、それを作ったのが先輩なんだ。」

「え!?」


 あのゲームやファンタジー小説何かに出てくる便利なアレですか。

 所謂ドラちゃんのポケットですね!!


「他にも色々と作ってるみたいで、研究所以外にもスカウトがかかってたみたいなんだよね。それで将来有望株を逃がしたくなかったんだろうね。」

「そうなんですか。」


 それは、すごいね。

 こうやってゲーム必須アイテムが出来上がっていくわけですね。

 なるほど。


 ・・・・・ゲームの強制力って無いですよね?

 あ、何か不安になって来た。



「話は戻るけど、エルちゃんは精霊のことをもっと知りたいの?」

「え?いえ、そういう訳では・・・・・。」

「そうなの?精霊のことを詳しく知りたいなら先輩を紹介しようかと思ったんだけれど。」

「え!?」

「僕は学院を卒業したら先輩の部署に就職する予定なんだ。だから先輩を紹介するのも簡単だし、それに精霊が見えるエルちゃんを知ったら先輩も興味持つだろうしね。」

「そ、そうですか。」

「まあ、何時か先輩を紹介させて。精霊の見える人って珍しいからさ。その時は先輩に付き合ってあげて。」

「はぁ。」


 ・・・・・何か、先輩後輩逆なんじゃないかって思ったのは気のせいかしら?








 その後、偶に書庫で出くわすことが多くなった。彼と会えば、精霊や他愛も無い話をするようになりそれはエリオットの正式な家庭教師が決まるまでの間続いた。



 そして、彼がこの伯爵家へ家庭教師としてくる最後の日。

 約束も何もしていなかったけれど、示し合わせたかのようにその日も書庫で彼と出くわした。


「そうだ、エルちゃん。何時か研究所へ遊びにおいで。その時は先輩を紹介してあげる。精霊のこともっと知れるよ。」


 私をその先輩と言う人に合わせることを諦めた訳じゃなかったんですね。


「そうですね、何時か。」


 苦笑しつつ(笑えてないので目が細くなっただけなんですけどね)先生を見上げた。

 彼は柔らかく微笑みながら私の頭を撫でた後、お別れをして出て行った。












 その時はまだ、その何時かは単なるお世辞で果たされることの無いものだと思った。

 けれども、それが今後私に大きく関わることになるとは今この時の私は知る由も無かった。






補足


術具師

 まぁ、簡単に言えばマジックアイテムを作る人ですね。



 誤字脱字・感想などありましたら遠慮なく言ってくれると嬉しいです。

 一部修正しました。

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