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この世界で生き残るために  作者: スタ
三章 予測不能な出逢い
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閑話 とある小鳥の観察日記

 本日の五話目です。

 前とほぼ変わっていないので飛ばしてもらっても話に支障はないです。

 


 〇月△日

 遺跡調査に行って、どういう訳かエルは他の二人と一緒に旅をすることになった。

 どういう訳なのだろう?

 ワタシには分からないや。

 唯一つ言えることは、滅多にワタシは小鳥に変身することが出来なくなったということ。

 そんな!?しょんぼり。




 〇月*日

 護衛を任されている男グレンと言う名だったかな。彼が遺跡から持ち帰った緑色の玉を渡されて、エルは複雑な表情で受け取っていた。

 グレンと分かれて部屋に一人戻ると何やらブツブツと呟いていた。


「何で私は今宝玉を持って?・・・・・おかしくない?・・・・・・・ゲームで勇者が・・・・・・宝玉を捜してた四天王は?・・・・・・・ってか、これ私が持つの?・・・・・マジで?」


 何のことだろう?

 変なエル。




 〇月◇日

 一緒に旅をするようになったフィーアという少女は何も知らないらしい。

 記憶も無いんだって。

 へ~。

 エルが一々教えてあげてるみたい。

 エルは世話焼きだね。

 それにしてもこのフィーアという少女はワタシと似ているようで似てないような?

 何なんだろう?




 〇月☓日

 タボス村から南の街道を通り、南西に接する隣国との貿易が盛んな街ミュールズへと向かう。

 途中盗賊と出くわしたが、グレンがバッタバッタと敵を薙ぎ倒していた。

 おおおお!!

 グレンって強いんだね!

 でも、その分エルがワタシを使ってくれない。

 ちょっとつまんない。




 〇月*△日

 地図を見ていたグレンが、中間地点への近道と言って森を抜けることに。

 結果として街道を通るよりも早くに着きそう。

 後ろを振り向けば魔物の死体が点々と。

 なんだか今日はエル、疲れてる?

 

 最近グレンに良いところを持っていかれてワタシの出番が無い。

 力を使うのはエルの自由だけど。

 グレンにちょっとモヤモヤ。

 ワタシだってあれくらいエルの役に立てるもん。


 何だか寂しかったので、二人に見えないようにピアスから小鳥に変身し、今日はエルの傍で丸まって寝ることにした。




 〇月**日

 今日は街道の中間辺りに休憩所として建てられている小屋で寝泊りすることになった。

 グレンはいつも通り晩御飯となる獲物を狩りに行く。今日は珍しくフィーアたっての願いで、エルは薪を集めに、フィーアは茸や山菜を採りに別々に行動した。一人で頑張りたいのだとか。

 フィーアが心配だったのかエルが危険が無いか見ていてほしいと頼んできた。

 少し彼女が気になっていたので二つ返事で了承する。

 森の中をトコトコ歩く少女の後を隠れながらついて行く。

 今のワタシの姿は栗鼠!

 木から木へとビュンビュン飛び渡るのが癖になりそう。

 おっと、フィーアを見ていないと。

 茸の群生地へとたどり着いて黙々と採取している。


 あ、それワライ茸。






 両手一杯に採った茸を小屋へと持って帰る。


「エル、いっぱい採れた!」


 焚き火の準備をしていた彼女のもとへ行き、両手一杯の茸を見せてはにかんでいる。


「ありがとう。其処に置いておいて。」

「うん。次は?」

「じゃあ、近くに川があるから水を汲んできてくれる?」

「うん。」


 素直に頷いて、小屋に設置されていたのだろう桶を取って川へと水を汲みに行った。


「シアン。何も無かった?」


 何か・・・・。

 ふむ。魔物に出くわすことも無かったし、怪我もしてない。


 無カッタヨ。


「そう、なら良いのよ。あの子、一生懸命なのは微笑ましいけど、少し抜けてるところがあって心配なのよね。」


 フィーアが向かった方を見ながらそんなことを呟いていた。


 その晩はグレンが料理の担当だった。


「今日はごった煮スープだな。お、この茸を使えばいいのか?」



 ザラッ



「あっそれ!!・・・・(まだ選別してない!)」

「どうした?」

「・・・まだ毒キノコが在るか見てないの。」

「あぁ・・・・・まあ、大丈夫だろう!多分。」

「・・・(その根拠は何!?)」


 晩御飯を食べてから三人の顔が崩れた。

 何が可笑しいのかな?

 まあ、エルが楽しいならいいか。



 次の日から料理はエルの仕事になった。

 何かあったっけ?














 後日、南街道を通っていた商人が言うには


「夜に可笑しな笑い声を響かせて道行く人を驚かせる魔物が出た。」


 とのこと。

 視線を逸らす三人が居たことは言うまでも無い。



補足


 シアンの力を使う=エルに構ってもらえる


 という考えから、グレンに嫉妬気味のシアン。

 結局のところグレン達が居る所でシアンを使う気はないのだが、その事には気づかずグレンに対して対抗意識を持ってます。


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