これからについて
二話更新です。
こちらは二話目ですので、前の話を先にお読みください。
これはまだ序章に過ぎない。
だって本番はもっとずっと先だから。
それでも私はもっと生きたい。
高校卒業前の十八という若さで死んでしまった人生。
まだまだやりたい事だってあった。恋愛だってしたかった。
でもそれは過去のこと。
私は死に、異世界で生を受けた。
香織。
もっと貴女と話をすればよかった。
そしたらこんなことは起こらなかった?
それとも起こるべくして起こったこと?
分からない。
貴女の真意が。
貴女の想いが。
ただ、もう貴女の想いを確かめることも、知ることも出来ないのだってこと。
ただそれだけ。
ねえ、香織?
私は貴女のことが大好きだったよ?
一番の親友だって思ってた。
香織は違ったのかな?確かめることはもう出来ないけど。
死んで、異世界という地球とは別の世界に生まれ、決して逢うことは無くなった。
貴女に聞きたいことも、言いたいことも沢山あった。
それでも、私はエルゼリーゼとしてこの世界に生を受けた。
ここで生きることを決めたの。
だから、私は貴女にこの言葉を送ろう。
大好きだったよ、さようなら。
沙耶にとっての唯一の親友。
***
キラキラと差し込んできた日差しで目を覚ます。
「おはようございます、お嬢様。」
あれ以来、邸ではエリオットと母アンジェリーナ、そして、実質上私の傍で敬遠することなく仕えているたった一人の侍女であるヘイザ以外は私を避けるようになった。
もちろん、伯爵である父も。
フラグ回避に走っていたはずが、どうも悪役の方へ一歩近付いてしまったかも?
イベント回避不可ですか?
虚しいですね。
あの青い鳥は不吉の精霊と呼ばれていた。
不吉の青い鳥なんだって。
地球では青い鳥と言ったら幸せの青い鳥なのにね。
どうもあの時に精霊と血の契約というものをしてしまったらしい。
やっぱり私にやった覚えが無いんですけどね。
精霊側から一方的に契約出来るなんてずるいと思うんですよね。
ほんと。
思い出したらまたイラッと来ましたよ。
ちょっと後でまた文句でも言おうかしら?
ん?
精霊は何処に居るのかって?
近くに居ますよ。
あの時の鳥の巣に。
何でもあの鳥の巣が気に入ったみたいで、小鳥たちと一緒に住んでますよ。
気にならないんでしょうかね、あの夫婦。
契約することで精霊と繋がるらしく、何処に居ても直ぐに来れるみたいですよ。
だからってあの夫婦の巣にお邪魔しなくても。
「おはよう。」
ベッドから出て、グッと背筋を伸ばし窓へと視線を向ける。
「朝食か整ってございます。」
「分かったわ。」
さて、今日も死亡フラグを回避するために頑張りますか!
これで一章完結です。
二章に入る前に閑話が入ります。
誤字脱字・感想等ありましたらメッセージ下さると嬉しいです。