第46話 エピローグ
3年後、俺は里奈と結婚。
その頃には世界はかなり良くなった。
日本の景気は絶好調。
食料自給率も大幅に改善した。
赤い国旗の国は経済破綻。
俺にちょっかいを出す暇がなくなった。
ばら撒いた迷いの魔道具は雨に打たれ、風化して徐々に使えなくなっている。
またちょっかいを掛けられたらばら撒くだけだ。
義士は相変わらず営業部長をやっている。
仕事をほとんどしないのも相変わらずだ。
だが元クズ親達の営業マンを束ねているので安泰だ。
そうそう、義士も結婚した。
相手はなんと佐奈子。
俺がくっ付けたわけじゃないよ。
佐奈子は義士の羽振りの良さに惚れたらしい。
義士は金をばんばん使うタイプだからな。
ブラックバイパーから年に1億円ぐらいもらっているのに、副業として不思議道具のアイデアを出している。
アイデア料を何パーセントか取られたが、痛くはない。
佐奈子は結婚して落ち着いた。
ブランド品を買い漁ることはやめないけどな。
絵世は執行猶予がついて、やっぱり襲ってきたので奴隷の首輪を嵌めて、義士の部下として営業マンをやっている。
「次に何かやるとしたら何かな?」
里奈に相談してみた。
「アフリカに食料支援と、水の魔道具は送ったし、宇宙開発でもやってみたら、魔道具で」
「うん良いかもな。魔導金属を使えば安価で大出力のロケットエンジンができる」
宇宙開発か。
デブリも何とかしてやるか。
「私、異世界に行ってみたい」
「異世界は物騒だが、俺がいれば安心だ。じゃあ行こう」
里奈と倉の亀裂を潜った。
出た先は街になっている。
異世界としてはかなりの都会だ。
魔穴そばの冒険者ギルドに入るとロバート達がいた。
ロバート達は冒険者を引退して教官をやっている。
「また何か相談か?」
「奥さんを紹介したくて」
「里奈です」
「おう、よろしく。旦那さんの異世界での一番の友達のロバートだ」
「主人から話は聞いてます」
雑談を終えて、魔穴の街を抜けると、穀倉地帯だ。
ここで作った麦はアフリカに送っている。
街道を行く。
「モンスターが出ないのね」
「ああ、ここら辺りのモンスターは一掃した」
「モンスターが絶滅したら不味いんじゃないの」
「モンスター保護の活動か。猛獣並みだからな。共存は難しいが、金の使い道には良いかもな。日本でも異世界でも金があり過ぎるから」
異世界の街道は馬車ではなくて、魔導自動車が走っている。
これは俺が開発させた。
電気を起こせるならモーターを作れば良いだけだからな。
もちろん設計は日本でやった。
異世界で作れない部品は持ち込んだりしてる。
でも徐々に異世界で作れる部品の割合が増えている。
そのうち100%異世界産の魔導自動車が出来るんだろうな。
タクシーを捕まえたので街まで乗って行く。
「異世界らしさがないわね。トカゲが車を引いているとかないのかしら」
「観光用ならあるぞ」
「乗ってみたいわ」
「じゃあ、後で乗ろう」
街に着いた。
領主とは面会しない。
街が増えたので領主は大変だ。
飛び回っているらしいからな。
もちろん面会を申し込めば、もろ手を挙げて歓迎してくれる。
露店から良い匂いがする。
俺が魔導金属や魔木をたくさん持ち込んでいるので、露店でも魔導コンロを使っている。
もうすっかり異世界も、現代のヨーロッパみたいだ。
「なんだか別の世界に来たって感じはないわね」
「でも地球では鎧を着て剣を下げている人はいないだろう」
「そうね」
「さあ、トカゲ車の停留所だ」
「うん、異世界って感じ。こういのが見たかったのよ」
チケットを買って座席に座る。
定員になるとトカゲ車はゆっくりと動き出した。
最初は噴水広場だ。
水の魔道具で吹き上げられた噴水が、光の魔道具でライトアップされる。
「綺麗だろう」
「ええ、綺麗ね。でもなんか地球でもこういうのがあるような」
次に向かったのはレッサードラゴンの檻。
定期的に血を抜いてエリクサーを作るために飼われている。
もちろん観光資源の役割もある。
代替品として豚の血があるが、領主としては確保先は複数持ちたいらしい。
「ブレスを吐かれると不味いから近くには寄れないが、迫力だろう」
「ええ、恐竜が生きていたらこんな感じだったのかも」
トカゲ車は教会に向かった。
白い教会の建物は遠くからも目立つ。
「教会はまあ普通だな」
「ええ、こういうのはどこも変わらないのよね」
トカゲ車を降りて教会の中に入る。
正面の壁には幻影の魔道具が設置されている。
神像の周りには光と天使が飛び回っていた。
「派手だろ」
「ええ、なんか未来的ね」
「異世界が遅れているって認識は持たない方が良い。地球の科学力じゃまだ核兵器の無力化はできないからな」
「知ってるけど」
「魔法には魔法の体系があって過去から研鑽されている。ちょっとしたきっかけを与えれば化けるんだ」
「あなたは異世界の時計の針をだいぶ進めたわよね」
「地球人が侵略する展開も考えてたからな。そうなって欲しくないから抑止力も大事だ。それにモンスター被害は少ない方が良い」
「確かに平和に行きたいわね。世界を良い方向に導くあなたはヒーローだわ。出会った時からそう思っている」
全ては倉から始まった。
もっと上手くやれたかも知れないが、及第点だろう。
これからも俺は世界のバランスを取ることを生きがいとしよう。
そう神の前で誓った。
異世界にはお世話になってます、これからもよろしくと祈う。
笑い声が聞こえた気がした。
これで良いらしい。
あとがき
10万字に到達したので終わりです。
もう少し最強無双すれば良かったですかね。
日本だとダンジョン世界でないと最強無双は難しいです。
この題材としては健闘した方だと思います。
最後の方とかヒロインの影がなくなったのも反省点です。
二人で危機を乗り越える展開とかの方が良かったかも知れません。
もう一回、リメイクするならダンジョン要素を付け加えるですかね。
やる予定はないですけど。




