小話 【赤が似合う女の子】
季節外れな秋のお話です。
書籍化のために書いたのですが、文字数を間違っていたためお蔵入りしていたのを昨日思い出しました。
内容としては、ミッチェの誕生日前です。
ぼくのお庭は宝物がいーっぱい!
松ぼっくりにイチョウの葉っぱ。真っ赤になったのはなんの葉っぱだっけ?
でも、みんなカサカサしてるからちょっとちがうの。
だって、今日はミッチェへのプレゼントを探してるんだもん。ミッチェはカサカサよりピカピカきれいで可愛いのがいいの。
「コニーは何にするか決まった?」
「うん! ぼく、どんぐり!」
だって、ミッチェの髪の色だ。どんぐりさんはおひさまでひかって、あったかいの。
「姉さまは?」
「秘密よ! あとで見せっこしましょ?」
「わかった~~」
姉さまと少し離れてどんぐりを探す。お庭で一番きれいなのを見つけなきゃ。本当は一度見つけたけど、それは父さまのお見舞いのカードに使っちゃったから。
でも大丈夫! ぼく、どんぐり探すの得意だから!
「どっどっどんぐり、ど~こっかな! ピッカピッカどんぐり、出っておいで~~♪」
葉っぱの上でスキップすると、カサカサ、シャクシャクおもしろい。
「サックサック、カッサカッサ、楽しいね~」
歌を歌ってスキップをして。どっちもミッチェが教えてくれて上手になったんだ!
母さまに会えたら見せてあげなきゃ。ぼく、お話し上手になったの。お歌も歌えるんだ。スキップだって、ほら! こんなに上手になったよ。せーので、ジャンプ!
「ぼくは勇者コニーだ!」
……あ。父さまにお芝居、見てもらってないや。報告日誌書いたり教会行ったり、色々あって忘れてた。
「母さま、ぼくと父さま、なかよしなのビックリするかな?」
でも、なんで父さまのこと怖かったんだっけ? もうあんまり覚えてない。
だってもう仲よしだもん。ごはん、一緒に食べてくれるもん。お話だって聞いてくれるんだよ。
「あっ、すっごくきれいなどんぐりみ~っけ!」
つやつやで、ころんときれいな形だ。ちゃんと帽子もかぶってる!
「えっと~……、やった! あな、あいてない!」
どんぐりさんは虫さんがお家にしてるかもってミッチェが言ってた。あとは、お水に入れるとわかるんだっけ? これはベンにお願いしなきゃ。
それからもピカピカどんぐりをさがして、全部で十個見つけた。これだけあれば大丈夫かな。
「コニー様、そろそろ戻りませんか? もうすぐお昼になりますよ~!」
「はーい!」
ちょうどミッチェが呼びに来てくれた。んふふっ、どんぐり喜んでくれるかなぁ。早く見せたいな。
ミッチェのところに向かうと、姉さまも戻ってきた。
ニコッて笑ったから、姉さまも宝物を見つけたみたい。
テテテッとそばにより、内緒話をする。
『どこにかくすの?』
『とりあえず、ベンに預けましょ。そのどんぐり、虫がいないか見てもらうんでしょう?』
『そなの。おねがいしなきゃ』
姉さま、虫さん嫌いだもんね。虫さんいないか見てもらわないとお部屋に持って帰ったら駄目って怒るんだ。
でも、ぼくもどんぐり虫さんはあんまり好きじゃないの。ごめんね?
ミッチェに見つからないように、お部屋に戻ってからコソッとベンに渡す。
「任せてください。ちゃんと茹でて乾かしておきますから」
「……ベン、どんぐり食べたらだめだよ?」
大変だ、ベンに食べられちゃう!
「違いますよ。水に入れて浮かばなかったやつを念のため茹でるといいんです。そのほうがプレゼントしたときに喜ばれますから」
「そなの? たべない?」
「食べませんから。信じてください」
「はーい」
それからしばらくして、どんぐりが戻ってきた。……六個だけ。
「……ベン、たべたでしょ」
「食べてませんから! 水に浮いたのが三個と、茹でたら割れてしまったのが一個あったんです!」
ええっと? 指を使って数を数える。……うん。合ってる。
「ベン、疑ってごめんね?」
「いやいや、頭を下げないでください」
「悪いことしたらごめんなさいなのよ?」
「確認は大事だから悪いことじゃないです。ぼっちゃまは正しいんですよ」
そっか。確認大事。ぼく、おぼえた!
先生にお願いしてお勉強がお休みになった。
ぼくはプレゼントの絵を描いて、姉さまはリボンに刺繍をしたの。姉さま、すっごくじょうず!
残った時間で招待状も作っちゃうんだ。
「どんぐり、虫さんいないよー。ちゃんとベンが見てくれたの。おなべでグツグツしたの」
「え、茹でたの?」
「うん。ベン、たべてないよ?」
「……食べないでしょ。リスじゃないんだから」
すごい。姉さまはベンが食べないの知ってるんだ。
「姉さま、なににしたの?」
「ん? ああ、これよ。きれいでしょう」
姉さまが見つけたのは、ツヤツヤの真っ赤な実だ。
「きれい! でも、あかだよ? あか、母さまよ?」
真っ赤なバラがすきなのは母さま。ミッチェは優しい色が似合うのに。
「だって、ミッチェったら私達が可愛いって言っても信じないんだもの。でも、ほら!」
姉さまが真っ赤な実とどんぐりさんを並べる。
「かぁいいね!」
「でしょ? ミッチェの髪には赤も似合うの。だからね。一緒に飾りましょう」
本当だ。真っ赤なバラは母さまだけど、コロコロまぁるいピカピカの赤い実はミッチェに似合ってる。
「つぎのおかいもの、赤がいいな」
「あら、いいわね。ミッチェに似合う赤を見つけましょうか」
「うん! たのしみだね」
ミッチェのお誕生日でしょ? 父さまのお友達のパーティーに行って。あ! 今度こそミッチェ母さまって呼ぶの。それからまたみんなでお買い物して、今度はミッチェに似合う赤を探すでしょ? わぁ、どうしよう。楽しいこといっぱいだ!
「ミッチェ、よろこぶかなぁ」
「もちろんよ。だってミッチェは私達のことが大好きだもの。一緒に楽しんでくれるわよ」
「えへっ、ぼくも!」
ミッチェ、だいすき。これからもずっとずっとずーっと一緒にいてね!
webのみだと意味の分からない、教会やお見舞いのカード、お買い物などのワードが含まれていますが、こちらは書籍版の書き下ろしエピソードになります。書籍に載せるつもりのものだったのでお許しを。




