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【書籍化決定】愛など初めからありませんが。(第一章完結、第二章準備中)  作者: ましろ


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11.赤と緑

「二人は何色が好きかしら」

「「赤!」」


あら、意外ですわ。一択なのですね?


「お母様が好きな色なのよ」

「まっかなバラがだいすきなの!」


なるほど。ダイアナ様が好きなお色なの。

確かに、とてもお美しいダイアナ様には真っ赤な薔薇が似合いますわね。


「今度ね、旦那様のお友達のところでパーティーがあるのですって。その日に着て行くお洋服を準備するのだけど、皆でお揃いの物を身に着けませんか?」

「ミッチェとお揃い?」

「はい」

「おそろい!なににする?おおかみ?とら?」


あら。最近は格好良い動物にハマってますものね。


「動物さんブローチも素敵ですね」

「私はやっぱり綺麗なリボンがいいわ!」

「では、女の子はリボン。男の子はブローチにしますか?お色だけあわせましょう」

「じゃあね、みどりがいいな!」

「赤じゃないのですか?」

「うん。だってミッチェはやさしいみどりのほうがカワイイ!」

「え、私ですか?」

「そうね。濃い緑よりも、もっと柔らかい色で……ペールグリーンとかかしら」


皆の衣装なのに、私なんかを基準にしていいのでしょうか?それに、柔らかい緑が似合うだなんて初めて言われました。


「なに?嫌なの?」

「いえ、あの……ただ、少し恥ずかしいです」

「どして?ミッチェにあうよ?かぁいいよ?」

「グリーンに白の小花を散らしても素敵よね。髪も緩く巻いてもらいましょうよ。絶対に似合うわ!」


大変です。お二人が褒め殺ししてきます。


「あ、でもお父様はどうしよう。全然似合わない気がするわ」


魔王と柔らかいペールグリーンに白の小花。どうでしょう、頑張れば何とかなるでしょうか。


「おまかせなの!」

「はい?」

「だからね、おまかせなの。父さまににあうのさがしてって」

「……そうですね。午後に来る方にお任せしましょう。さすがはコニー様です。きっと旦那様にも似合う柔らかい緑がありますよ」


たぶんですけど。申し訳ありません。丸投げさせてくだ                         さい。


「でも本当にいいのですか?地味な私に合わせなくてもいいのですよ?」


可愛らしいお二人には、緑もいいけど赤も似合うと思いますのに。


「ねぇ。私達は『ミッチェは可愛い』って言っているでしょう?聞いてないの?」


えっ、怒ってますか?


「そうよ?ミッチェはかぁいいの!」

「私達の審美眼を信じなさいよ」


さすがはフェミィ様。難しい言葉を知っていますね。


「それに、これが最後じゃないのでしょう?だったら次を赤にしたらいいじゃない」

「えー、みずいろのほうがかぁいいよ?」

「そうね。ラベンダーも綺麗よね、悩むわ」


……もしかして本気で言ってくれているのかしら。可愛いだなんて、誰にも言われたことが無いのに。

お父様もお母様も、デイルのことは可愛いって言っていたけれど、私には地味とか可愛げがないとかしか言ってくれませんでした。


「ちょっと、どうして涙目なの!?」

「ミッチェいたい?どっかいたいの?」

「……いいえ、ただ嬉しくて。ふふっ、嬉し過ぎて涙が出ちゃいました!」

「もう、おどかさないでよ」

「へいき?だいじょぶ?」

「ん~、お二人のことが大好き過ぎて困るくらいです」


ギュッと抱き締める。まだ、こんなにも小さいのに、こんなにも私に幸せをくれるのですもの。


「ミッチェ、いいにおいする~」

「もう。好きなら困らないでしょう」

「ふふっ、そうですね。年を取ると涙腺が弱くなるらしいですよ」

「そしたら父さまたくさんないちゃうよ?」

「え、キモッ」


……今のフェミィ様の言葉は聞かなかったことにしましょう。


「さて、仕立て屋さんが来る前にお昼御飯を食べちゃいましょうか」

「お庭でたべる?」

「虫がいるからいや!」

「えー、ぼく虫さんすきなのに」


何時までもこんな日常が続けばいいのに。

そう願ってしまいます。


ダイアナ様はなぜ、この愛しい子供達と離れなくてはいけなかったのでしょう。私には、どうしても分かりませんでした。






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