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運命の輪  作者: 青紫せい
皇国グラディータ
5/8

知らない記憶

自分の頭の中に知らないことが流れ込んで来た。母の胎内で聴こえた音のこと、産まれたときの事、産声はあげたものの反応のあまり無い自分に悲しげになる家族の顔、母が語りかけたり外に出して色々見せたり一生懸命な姿が見えてせつなくなった。

5年は長かったが、まわりのひとたちは本当に根気よくお世話をしてくれた。室内ばかりではなく天気のいい日には外に出したりよく声がけをしていてくれていた。わからなかった言葉はいまはかなり聞き取れている。

「ミリアティス様今日はお天気がいいですね。」「花がきれいですね。」「鳥が鳴いていますよ。」献身的な3人のメイド達も母と同じ気持ちで接してくれていた。その物言わぬまるでかわいい人形の様な幼子に日々語りかけ食べさせオムツをかえ身綺麗にして育てていた。

なんという長さだろう、頭が下がる。時々父親と思われる人が男の子を連れて来ていた。多分お兄ちゃんがいる。

せめて他にきようだいがいてくれて良かったと思った。健康そうで優しそうだった。 

(兄がいる。)そのことがうれしかったし会いたいとも思った。その願いはあんがいすぐに叶った。

 昼寝から目が覚めて起きあがりメイドに着替えさせられてリビングと覚しき部屋に入ると少年が待っていた。

年の頃は7〜8歳位と思われ金髪で青い目、顔立ちが自分と似ていることから兄に違いないと分かった。思わず「あにーしゃぁ」発音が追いつかない言葉を発した。

「おにいさまと言ったのか?」驚がくの大きな目とあんぐりと開いた口が幼かった。(よくわかったね〜すごい)あれ自分もその子の話した言葉が理解できてうれしくてニコニコしてたようだ。

「みて笑った!今まで見たこともない顔だよ。すごいな〜かわいいね。」子供らしく素直な感想だった。(今まで表情もない状況だったんだろうな)

そう考えると自然と頬もゆるみがちになった。

(やっぱり言葉って大切)しばし実感ひとしおである。



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