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妹の暴走

数日後、俺は病院の中庭にあるベンチに座っていた。


彩乃とは話した時に連絡先を交換したので、毎日のように話している。


そして、今日も一緒に過ごそうと約束を交わしていた。


「お待たせしました……」


彩乃は息切れをしながら、俺のところまで走ってきた。


「そんな急がなくてもよかったのに……」


「いえ、少しでも早く如月君に会いたかったので……」


「そっか……俺も早く彩乃に会いたかったよ……」


「ふぇっ……/// きゅ、キュン死しちゃいますよ……」


「死ぬのは困る……」


俺達はそんな風な会話をしていた。


ちなみに俺達の関係は、まだ付き合っているわけではない。


あくまで友達以上恋人未満という関係だ。


俺はこの世界でハーレムを作ろうと思っている。


彩乃は確かに可愛いが、もっとこの世界を楽しんでからでも遅くはないだろうと考えている。


この世界は俺にとって都合が良い。


なぜなら、この世界では俺はイケメンで勉強やスポーツができるらしい。


そして、どうやら幼馴染みもいるらしい。


まぁ、もし仮にこの世界がギャルゲーの世界だとしたら、ヒロインを全員攻略してハーレムエンドを迎えるのが俺の目的だ。


「ところで、最近何か変わったことはありましたか?」


「そうだな……特にはないかな」


「そっか……良かったです」


「でも、定期検診で少し異常があったみたい。なんか蛋白質の量が多いみたいだよ」


「へー、そうなんですか……蛋白質ですか……もしかしたらせいし量が」


なぜか、彩乃は少し顔を赤くしていた。

なぜだろうか……


まあいいか。


俺は、気にせず話を続けた。


すると、どこかから視線を感じた。

そちらの方を見ると、そこには俺の妹である雪奈がいた。


雪奈はこちらに向かって歩いてきた。


どうしたのだろう? 雪奈は俺の前で立ち止まった。が、俺と目が合うと、すぐに目を逸らしてしまう。


一体なんなんだ? 俺は疑問に思いながらも、話かける。

どうした? とかその程度の軽い感じで。


しかし、返事はなかった。


もう一度声をかけようとした時、雪奈は口を開いた。


しかしその言葉はとても冷たいものだった。


彩乃を、ゴミを見るような目でを見下しながら言った。


「あなたは誰ですか? 私のお兄様に近づかないでもらえますか。しかも、そんなメス全開な目でお兄様を見ないでください!! 気持ち悪いです」


「え!? はい……すいませんでした……」


「ちょっと待てよ!  雪奈! 初対面の相手にそれはあんまりじゃないか!?」


俺は思わず怒鳴ってしまった。


雪奈に大声を出したのは初めてかもしれない。

雪奈はビクッとして、こちらを見た。


「ご、ごめんなさいお兄様……でも……この女はお兄様こと狙っているんですよ!? 隙あらば襲い掛かろうとしていました! 私には分かります!

「はぁ……何言ってんだよお前は……」


「私はお兄様のことをずっと見てきたんです!  だから、この女の考えていることもわかります! この女は、今にでも襲って既成事実を作って、私のお兄様と結婚しようと企んでいるんですよ! このド変態!  お兄様に近づくな!」


「な、なにを言っているですか!?  私と如月君が結婚!!!! ……へへへへへへ!!」


彩乃は妄想しているのか、ニヤけながら体をくねらせている。


なにこれ……少し怖いんだけど……

彩乃さん……鼻血出てるよ……


「なんですかこの気持ち悪い人は……お兄様から早く離れてください! 穢れてしまいます!」


俺の知っている雪奈は、いつも笑顔を絶やさない可愛い女の子だった。


それなのに、今は全然違う。


まるで別人のように冷たくて怖かった。


俺は無理やり雪奈に引っ張られベンチから立ち上がらされる。


「ちょ、雪奈!?わかったから離してくれ!!」


「ダメです! これ以上、この女にお兄様を近づけさたくありません!!」


「ちょ! 如月君が痛がってます、もう少し丁寧にしてあげてください!」


「うするさいです! 身の程を知りなさい! このド淫乱ビッチ! 」


俺は雪奈に引きずられるようにして、その場から離れた。


俺は引きずられている途中、後ろを振り向いた。


そこには、泣きそうになりながらこっちを見ている彩乃の姿があった。


そして、俺と目が合った瞬間、彩乃は少し笑顔になったが、それは作り笑いで無理をしているのがよく分かった。


俺は、罪悪感に押し潰されそうになる。



あの後、俺は自分の部屋に戻った。

そして俺はベッドの上で横になっている。


「はぁ……」


さっきの出来事を思い出し、ため息が出る。


まさか、あんなことになるなんて……


雪奈があんな風になってしまうとは思わなかった。


それにしても、どうして雪奈はああなったんだろう……


「はぁ……」


また、ため息が出た。


その時だ。


コンコン


部屋の扉がノックされた。


「はい……」


「お兄様、入ってよろしいでしょうか?」


「あぁ、いいよ」


「失礼します……」


「どうした?」


「その……先ほどはすみませんでした……お兄様の前で乱暴な態度をとってしまって……」


雪奈は申し訳なさそうな表情で、謝ってきた。

俺は、そんな雪奈を見て安心した。


やはり、雪奈は可愛いくて優しい女の子だ。

俺はそんなことを考えていた。


だから、気づけなかったのだ。


妹が俺に対して抱いている感情が、家族愛ではないことに。


俺は、雪奈に優しく声をかける。


「別に気にしなくて良いぞ、俺を思っての行動なんだろ?」


「は、はい!でも、私の100%お兄様を思った行動ではないんです。私のわがままでもあるんです! 私はお兄様に、私以外の女性と一緒にいて欲しくないんです……」


「え?」


「だから、お兄様、私とお付き合いしましょう!いえ、結婚してください!」


「は?」


「私と結婚してくださいと言っているんです!」


なにを言っているんだ? 頭がおかしくなってしまったのか?


俺はそんなことを思っていた。


しかし、雪奈は真剣な顔で俺を見ている。

冗談では無さそうだ。


俺は雪奈を落ち着かせようと、声をかける。


「落ち着け、俺たちは兄妹だよな!? だから結婚は無理だろ!?」


しかし、逆効果だったようだ。

雪奈はさらに興奮してしまった。


そして、雪奈はとんでもないことを言い出した。


「大丈夫です! 実はお兄様が寝てる時に何度もキスもしてますし。その……実はエッチなこともしてしまいました!」


「はぁ!?」


俺は驚愕した。


この世界の妹はこんなにも積極的で、破廉恥なのかと。


「お兄様は寝ていて覚えてないと思いますが……だからは私はもう処女ではありません! 責任とってください!!」


「は!? 何言ってんだよ! お前はまだ中学生だろ!?」


「それがどうしたと言うのです? そんなの関係ないです! 」


「いや、あるだろ!?」


「それに証拠だってあるんですよ! 見てください! このハメどり動画を!?」


雪奈はスマホを操作して、俺に見せてきた。


そこには、全裸の雪奈とこの世界で俺が写っていた。


しかも、その動画は明らかに今の俺よりも幼い姿だった。


近くに赤いランドセルが写ってるが、もしかしてこの時の雪奈は小学生か……?


「これは……どういうことだ……」


「私はお兄様が大好きです!  お兄様が望むなら私はお兄様の言うこと何でも聞きます! なので私と結婚して、孕ましてください! 」


雪奈は必死に俺に訴えかけてくる。

だが、俺は混乱していた。


一体なぜこうなったんだ……


「ちょ、ちょっと待ってくれ! まずは冷静になろう! 一旦、部屋から出てくれ!」


「嫌です! 私をお兄様のものにしてください!」


雪奈はそう叫ぶと、俺に抱きついてきた。

俺はそれを何とか引き剥がそうとする。


しかし、力が強く引き離せない。


それどころかさらに強く抱きしめられてしまった。


「ちょ、離れてくれ!」


「嫌です! お兄様は私のものです!」


「はぁ……はぁ……わかったから離れて……」


「わかりました……じゃあ、一緒にお風呂に入りましょう! それで、お兄様を洗います!  その後、ベッドインです!」


「おい! 話聞いてた!? とりあえず部屋から出っていってくれって!」


焦った俺は近くにあったナースコールボタンを押し、看護師さんを呼んだ。


すぐに駆けつけてくれた看護師さんは、雪奈を引き離すと病室から連れて行ってくれた。


俺はなんとか危機を脱することができたのだ。


貞操観念逆転世界怖すぎだろ……


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