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幼馴染現る!

白峰と結婚することが決まってから、俺は急いで教室へ向かった。

教室の場所は白峰が案内してくれた。


花嫁ファイルで見たから知っていたが、白峰は17歳で先輩だ。

そのため俺とは授業を受ける教室が違う。


「ここがダーリンの教室だよ! もうホームルーム始まっちゃって遅刻だけど……休み時間にまた会おうね! きっと教室には可愛い子がいっぱいいると思うけど、浮気しちゃ嫌だよ……」


白峰から、目が笑ってない笑顔を向けられる。

その包丁持ってたら、いかにもヤンデレみたいな表情はやめて欲しい……


めちゃくちゃ怖い!



「わ……分かったよ。それと、ありがとう白峰」


「もう〜ダーリンったら、結婚するになんだか他人行儀ぽい! これからは私の事はハニーって呼んでくれなきゃ! あと敬語も禁止だからね? これは花嫁命令だよ♡」


彼女はそう言って人差し指を立てながら俺に言う。


……なんか、もう俺は、彼女からは逃げられない的な呪いにかかった気がするわ。


「分かったよ……ハニー」


「うん! よろしい。じゃあまたね優馬君!」


そう言って白峰は去って行った。

いや、そこはダーリンじゃないのか! 俺だけハニーって呼んでるみたいでめちゃくちゃ恥ずかしいじゃん!


俺はそんな彼女の後ろ姿を見送ると、教室に入ろうとしたらーーガチャッ!ーその前にいきなり扉が開いた。


「「あ……」」


教室に入ろうとすると、扉を開けた女の子と目があった。


俺はその子の綺麗な目に、思わず言葉を失ってしまう……


その子は銀色の長い髪をしていて、目の色が左右で違うオッドアイだった。


左目は黄色で、右目は青色だ。

顔立ちも綺麗で、美少女だった。


背は160センチ程度で、全体的にスレンダーな体型だ。


まるで白磁のような傷一つない肌が更に彼女を美しさを際立たせていた。


まさしく、絶世の美少女という言葉がピッタリな女の子だ。


そんな絶世の美少女も、俺を見て硬直していた。


俺はそんな彼女に挨拶をしようと、なんとか言葉を紡ぐ。


「あ、あの、おはよう」


すると彼女の白い肌が徐々に赤く染まってきて、ついには真っ赤になった。


「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」


「えっ!?」


そして彼女はそのまま、勢いよく扉をバタンッ!!と大きな音を立てて教室の扉を閉じてしまった。


っえ!? なんで閉めた!?


俺まだ挨拶しかしてないんだけど!?


すると扉の中から声が聞こえてくる。


「ちょ、ちょっと!? どうしたの、真里! お手洗い行ったんじゃなかったの!? それに顔真っ赤だよ!!」


扉越しに聞こえてきた声から察するにどうやら、さっきの女の子は真里というようだ。


そして扉の向こうでは、彼女の友達らしき人物に声をかけられているみたいだ。


「ああああ!!! 私、夢でも見てるの!!!!!????」


「夢って、いきなり扉閉めてどういうこと?」


「ああ、どうしよう!!! これからあの顔を生で毎日見れるんだのね!? それって絶対に勉強に集中出来ないよ!!」


「いや、もともと勉強を真面目にした事ないでしょアンタ……それより、外に何があるのか教えなさいよ!」


「それはダメ!!  瑠璃ちゃんが見たら死んじゃうよ!! ここが殺人現場になっちゃうよ!」


「いやいや、見ただけで死ぬとかありえないし……ちょっと、勿体振らずに教えなさいよ!」


「ダメ!! まだ私が独占したいの!! いくら瑠璃ちゃんでもこれだけは譲れないよ!」


「あーもう分かった。じゃあいいや、そこどいて? 自分で確かめるから」


「……え? それも無理かな?」


「なんでよ!?」


「だって、あの顔を見たら絶対に瑠璃ちゃん絶対死んじゃうよ!……私はまだ親友を失いたく無いよ!」


「どんな顔なのよ! もう、いいからどきなさい!」


そう言うと扉の向こうの女の子は扉に手をかける。どうやら実力行使に出るようだ……しかしーー


「だめぇ!!?!!」


「な、なんなのよ! いきなり叫びだして!?」


「瑠璃ちゃん、絶対に扉開けないで! 開けたら絶交だから!」


「え!? なんでいきなりそうなるの? ……もう、分かったわよ」


「ふぅ〜分かればいいんですよ!」


さっきまでの声のトーンとは違い、落ち着いた様子になっていた。


「と! 見せかけて、隙あり! さぁ扉の外には誰がいるの!」


「あっ、ダメだよ! 瑠璃ちゃん!」


そして扉を勢いよく開かれた。


外にいた俺は青い髪のショートカットの美少女と目があう……


彼女は俺の顔を見て、一瞬で顔が茹で蛸のように真っ赤になった。


そしてーー


バンッ!


大きな音を立てて教室の扉を閉じてしまった。


「きゃゃゃゃ! 瑠璃ちゃんが息してないよ! 立ったまま死んでる!」


「いや、息はしてるわよ……勝手に殺さないで! でも……一瞬意識が飛んでたわ……正直危なかったわ」


扉の外からそんな声が聞こえる。


「だから言ったのに! 瑠璃ちゃんには刺激が強すぎるよ!」


「……悔しい! もう一回見てみる!」


そして瑠璃ちゃんらしき人物がまた扉から顔を出し、俺の顔を見ると再びすぐに扉を閉めた。


そして、また開き。


「っあ♡」


バタンッ!


勢いよく扉が閉まり、大きな音を立てる。 


それが何度も繰り返され、そのたびに瑠璃ちゃんと思われる美少女が俺の顔を見ては閉めを繰り返していた。


俺はこれにどんな反応をしたらいい良いのだろうか?

そうだ! 一回くらい変顔でもしてあげよう!


……俺が変顔しながら、待っているとやはりまた扉が開いた。

そして俺は扉を開いた人物と目が合う。


「ああん♡」


また一瞬で扉を閉められた。


は? なんで変顔してるのにうっとりと表情を蕩けさせるの!?



「ねぇ、真里! 変顔しててもイケメンだったんだけど! もう反則よ!」


ちゃんと見てるのか!? 変顔だぞ? イケメンな訳あるか!


今度はもっと凄い変顔を見せてやろうと心に決めると、教室の中から新たな声が聞こえてきた。


「ちょっと貴方達! 何をやってるの!? 自習中だからって遊びすぎよ! 早く戻りなさい! 」


「あ、礼ちゃん!……ごめんなさい! でも、今はそれどころじゃ無いの!教室の外に私の王子様がいるの!」


「ちょっと真里!? 何を言っているの! 勝手に真里の王子様にしないでよ! 瑠璃の王子様でしょ!」


「いくら瑠璃ちゃんでもその冗談は聞き流せないかもなぁ……」


「なによ真里? 私とやろうって言うの?」


「ああもう! 二人とも黙ってなさい!! ほら! 席に戻りなさい!」


「「絶対にいや!」」


「いいわ、ならこっちにも考えがあるわ!……佳奈!! 真里と瑠璃を押さえなさい!」


「分かったわ礼ちゃん!! さーて悪い子はこいつで捕まえちゃうぞ!」


「きゃーやめて! 佳奈ちゃん!」「おのれ……礼! 佳奈を使うなんて卑怯だぞ!」


「うるさいわ。風紀委員である私に逆らった罰よ!」


ガチャッ、ガシッ!! と物騒な音が教室から聞こえた。

一体何が教室内で行われているんだ!?


そしてどんどんと真里と瑠璃の声が遠ざかっていく。


「よし、これで二人とも大人しくなったわね! 一体教室の外に何があるって言うのよ……」


そして、教室の扉が開かれた。

そこには長い黒髪をツインテールにした美少女がいた。

真里と瑠璃という超絶美少女を見た後であっても、めちゃくちゃ可愛いと感じてしまう。


彼女は最初は切れ長の目を鋭くしてこちらを睨んできたが、俺の顔を見た瞬間にその目が大きく見開かれた。


そして彼女は少し震えながら、俺に話しかけてきた。


「うそ……優馬なの……?」


彼女の綺麗な黒髪がユラユラと揺れている。


そして、そのまま彼女はこちらに向かって来た。

俺はいきなりの彼女の行動に咄嗟に動けず、彼女に抱きつかれてしまった。

そして彼女は俺の胸に顔をうずめた状態で、震える声で俺に言う。


「バカ! 優馬のばか……ぐすん……急に戻ってくるなんてズルいよ! ずっと心配だったんだからね!」


俺はそんな彼女になんて声をかけたらいいのか分からなかった……


「私怒ってるんだからね! なんで幼馴染の私に、今まで連絡をくれなかったの! ずっと……どれだけ私が心配してたか分かる?……」


そのまま、彼女は涙を流しながら言ってくる。

俺はその言葉に対して、何も答えられなかった……だからーー


「ごめん……心配かけた」


俺はただそれだけしか言えなかった。

そんな俺の言葉を聞くと彼女はより一層強く俺を抱きしめると話始めた。


彼女は嗚咽しながら、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。

その言葉は俺の心に深く突き刺さった……


だって……そのどれもが俺ではない如月優馬に向けられた愛情だったから。


なんでもっと早く私達に相談してくれなかったの……?

なんで頼ってくれなかったのよ!

願いだから、もう置いていかないで!

優馬がいなくなるなんて耐えられない!!


…………

……


ああ、如月優馬って奴は本当に大事なされてたんだな……

今の俺に出来ることは、目の前のこの子を安心させてあげることくらいだ。


それが如月優馬という人物に転生した俺の役目だと感じた。


「ごめん……でも、もう勝手に居なくなったりしないから……」


俺は彼女の頭を撫でながらそう言った。


「……もう二度と私の前から消えないでね」


「ああ、約束する」


「なんか優馬……優しくなったね。いつもはもっとぶっきらぼうで、そっけないのに……それに、いつもなら私に『ブス』とか『死ね』とか暴言吐くはずなのに……」


おい! 如月優馬! 俺の感傷を返せ!

お前は最低の人間だ!


なんか寂しい気持ちになって損したわ!


「そうかもな……俺も色々と変わったんだよ……」


俺は微妙な表情をつくって返事をした。

そして彼女は俺の胸から顔を離し、涙を袖で拭う。


「そっか……いつまでも今の優しい優馬でいてね!」


そう言って笑顔を浮かべる彼女を見ると、もっと優しくしてあげたくなっちゃうじゃないか!


こうして俺は、俺が転生する前の如月優馬に申し訳無いという気持ちはなくなったのだった。




残りの花嫁『59人』

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[一言] まじで優馬になりたい
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