汗の味
今日は夜にもう一話投稿します!
雪奈は、俺に馬乗りになるとそのまま顔を近づけてきた。
そしてキスしようとしてきたが、俺は咄嗟に手で口を塞ぐ。
すると、雪奈は不満そうに頬を膨らませるのだった。
「もう、お兄様ったら恥ずかしがり屋さんなんだから……でもそんなところも大好きです!」
「雪奈、とりあえず退いてくれないかな? 流石に重いんだけど……」
俺は雪奈に退いてもらうようにお願いする。
「あ、ごめんなさい! 私ったらお兄様との再会が嬉しくて、つい興奮してしまいました! でも酷いです! 私の体重は40キロほどですよ!」
雪奈はプンスカと、擬音が付きそうな感じで怒っていた。
いや、別に体重の話をしたわけじゃないんだが……
「再会って……病院で別れて数時間しか離れて無いじゃないか……それと重いって言ったことは謝るよ、ごめん」
「いいえ、謝らなくて大丈夫ですよ! でも、 私はお兄様に会えなくて寂しかったんです! もう2時間も会ってないんですよ!? 2時間っていうのは、長い月日です。その間、私はずっとお兄様のことを考えてました。そしたら、もう寂しくて寂しくて……だからお兄様に会えてとっても嬉しいんです! お兄様に会えて、私は今とても幸せです!」
雪奈は俺にまた抱きつこうとしてきたので、俺はそれを躱す。
すると、雪奈は悲しそうな顔をするのだった。
「お兄様……どうして避けるんですか?」
「いや、だって今俺汗かいてるし……」
確かに今は夏だが、病院からここまでずっと車だったため特に汗はかいていなかった。
ただ、雪奈に抱きつかれるのが恥ずかしかったから、適当な理由を言っただけだった。
流石に雪奈も汗臭い俺に抱きつこうと思わないだろ……
「お兄様の汗ですか!! じゅるり……なんて最高な! ますます抱きつきたくなりました! 是非、私に舐めさせてください!」
「なんでだよ!?」
雪奈は目を輝かせて俺に迫ってくる。
「だって……お兄様の汗ですよ? そんな素晴らしいものを舐めないなんて……私はお兄様の汗を、是非口に含んで味わいたいです!」
「いやいや! 流石にそれは無理だって! 恥ずかしいし変態過ぎるよ……」
「こんなの全然変態じゃありません! むしろ、お兄様の汗を舐めることが出来るなんてご褒美です! みんなそう思ってますよ!?」
「いや、みんなって誰だよ!?」
「それは勿論、この世界の全員です! その証拠に、そこメイドも男性護衛官の人だって物欲しそうな目でお兄様を見ています!」
雪奈は自信満々で言い放つ。
そんな馬鹿な……流石に俺の汗を舐めたいとまでは思わないだろ……
「……ってあれ? 桜井さん何やってるの!?」
「いえ、優馬様の汗がどんな味なのか気になって……後学のために是非とも舐めさせていただきたいです!」
桜井さんは、音もなく背後から俺に近づきハンカチで俺の汗を拭いていた。
「いや、何やってるの!? 後学のためにってどういうこと!? 」
俺は慌てて、桜井さんから離れる。
すると今度は、美沙が俺を抱き寄せた。
そして、美沙は俺に顔を近づけて……
ペロッ! 俺の頬を舐めた。
俺の汗を舐めた美沙は口元をだらしなく開き、目はトロりと溶けて恍惚な表情を浮かべていた。
美沙のそのメス全開の顔を見て、俺はドン引きしてしまった。
「美沙!? 何やってるの!?」
「はい、優馬様の汗はとても美味しいです♡ もっと舐めさせて頂けませんか?♡」
美沙は、俺の頬をペロペロと舐めようと舌を伸ばしてくる。
「ちょ! やめて! もう十分だから!」
俺は美沙から逃げるように、距離を取る。
すると、今後は橘さんと目が合った。
「橘さん! 助けてください!」
俺は、藁にもすがる思いで橘さんに助けを求める。
「優馬様……申し訳ありません……私もメスなのです……ですので、優馬様の汗を舐めてみたいのです……どうかお許しください……」
橘さんは、頬を赤らめて恥ずかしそうにしながらも俺の頬に顔を近づけてくる。
そして、俺の首をペロッと舐めた。
俺はビックリして固まってしまう。
そんな俺を尻目に橘さんは、そのまま俺の顔にまで舌を伸ばそうとしてきた。
橘さんは完全に蕩け切ったいやらしい表情をしていた。
「あ〜ん! 優馬様素敵です♡ 優馬様の汗、とっても美味しいです!♡」
「ちょっと橘さん!? もう離れてください!」
俺は必死に抵抗するが、力の差があり過ぎて全く振りほどけない。
そうこうしている間に桜井さんが俺の背後に回り込み、後ろから抱きつくように俺の脇の下に手を差し込んできた。
そしてそのまま、橘さんと同様に俺の汗を舐め始める。
桜井さんの舌は、橘さん滑らかな感触と違って少しザラッとした感じだった。
それが、なんだかとてもくすぐったくて俺は身を捩る。
だが、それでも二人は退いてくれない。
それどころか、さらに強く抱きしめてくるのだった。
「優馬様! もっと汗を舐めさせてください♡ お願いします♡」
「優馬様! 私の舌でもっともっと気持ちよくなってください♡ 」
2人は、俺の耳元で囁きながら更に激しく舐めてくる。
俺はくすぐったいような気持ちいような感覚に襲われる。
「ちょ! 本当にやめて! くすぐったいから!」
2人は、俺の言うことを全く聞いてくれない。
もう、どうすればいいんだ……そんな時、俺に救いの手が差し伸べられた。
雪奈が、俺の腕を掴んで引っ張ったのだ。
俺は2人から解放されて、そのまま床に倒れ込んでしまう。
そんな俺を雪奈は優しく抱き起こすと……
チュッ♡ っと俺の唇にキスをしたのだった。
「お兄様、大好きです♡」
雪奈は頬を赤く染めながら、俺に向かって微笑む。
俺は突然のことに驚いてしまい声も出なかったが……
「ゆ、ゆきな……」
そんな俺の情けない声だけが部屋に響いたのだった。
そして雪奈は橘さん達の方を向き、睨みつける。
すると、3人はビクッとして慌てて姿勢を正した。
「橘、桜井、それとそこのメイド! お兄様を困らせないの! 貴方達はお兄様を守るという使命があるから、今回は特別に許します! ですが今後このような事件が頻発するようなら、人員を変えてもらう必要が出てきますからね! 何度も言いますが私のお兄様なんですからね!」
雪奈が3人を注意する。
3人はシュンとして俯いてしまった。
なんだか、少し可哀想に思えてくるな……
「雪奈、3人にあまり厳しくしないであげて欲しいな……俺もビックリしたけど、別に嫌だった訳じゃないし……」
「お兄様! これは立派なレイプ事件です!お兄様はもっと怒ってください!」
「いや、別にレイプって訳じゃないだろ! 確かにちょっとビックリしたけど……それに行動に移したのは雪奈だろ?」
「た、確かにそうですが……私はお兄様の妹ですので……ノーカンです……」
雪奈は、自身なそうにモジモジしながら言う。
「ノーカンね〜でも、ちゃんと雪奈は自分にも少し罪があるのは分かってるよね?」
「はい、私も少しやり過ぎました……お兄様の汗を舐めたいあまり、暴走してしまいました……」
雪奈はシュンとして反省しているようだった。
そんな雪奈の頭に手を置いて俺は優しく撫でる。
すると、雪奈は嬉しそうに微笑んでいた。
「うん! 偉い! 俺はそんな素直な雪奈が大好きだぞ!」
俺は、雪奈に微笑みかける。
すると、雪奈は顔を真っ赤に染めてモジモジと恥ずかしそうにしていた。
「も〜大好きだなんてお兄様♡ いやぁ〜ん♡ 照れちゃいます♡」
雪奈は、体をクネクネとくねらせていた。
そんな俺たちのやり取りを、橘さん達3人は羨ましそうに見つめていた……
「ああ優馬様、なんとお優しいのでしょう……やはり優馬様は私の運命の人です……絶対に私が一生をかけて守ります。うふふ……一生離れませんよ。ずーと、ずーと。側にいて優馬様を監視……いえ、見守ります♡」
「雪奈様が羨ましいです……私はまだ未熟者ですが、優馬様へ愛は誰にも負けてませんよ♡ 絶対に、優馬様の一番になります♡ そして、私の愛で包み込んであげます♡ うふふ、私の本気、見せてあげますよ♡」
「優馬様、私は一生あなたに尽くします♡ どんなことだってお世話してあげますわ♡ もちろん下のお世話もです♡ 絶対に離れないですし、逃がさないですよ……♡」
3人はそれぞれ違う想いを胸に秘めながら、俺の側で怪しく微笑んでいたのだった。
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