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モブになりたいミリアリアの異世界事情

作者: HAL


お久しぶりの投稿です。

さらっと読める軽い話です。


※4/28 続話投稿してます





 ハウエル伯爵家次女ミリアリア、現在十六歳。

 彼女は考えた。 

 どうしたらこの世界で浮かずに(・・・・)モブとなって上手く生きられるかを。



 異世界人はモテる。

 どういう訳か皆モテる。

 何故か知らないけどハーレムの主みたいにモテる。

 現実世界にいた時は冴えない、恋人もいたことない人間なのに、異世界転移しただけで人たらしになる。世界が変わった位で何故そんなにも人を惹きつけるのか。

 しかも王族まで誑し込む。立場や責任を幼い頃から植え付けられているのに、何が新鮮なのかコロッと恋に落ちる。抑圧された反動なのか、落ちた世界の常識も知識もないのになぜ王族や上位貴族がこぞって婿や嫁に迎えようとするのか。そして導かれた結論は。


 種の保存の法則。


 男性主人公の場合はチート能力を得ている者が殆どである。

 女性は本能で優秀な遺伝子を残してくれる相手を嗅ぎ取り、子を授かりたいと願う。関わる度に女性を誑し込んでいくのはそういった理由から。男性側に非はない。

 女性主人公の場合は少しやっかいで、聖女として召喚される事が多い(同時に巻き込まれも多い)為、最初から王族などの権力者や上位貴族と知り合うので、いきなり結婚相手としてロックオンされてしまうといった件がかなりの割合を占める。『娶る理由付け』が容易なのだ。


 と、まぁ表向き(・・・)の理由はそんなところだが本命は―――

 実は地球人相手だと子供が出来やすいという驚きの裏設定。


 例えば『番』といわれる結びつきを大切にする種族、有名なところに竜族がいる。彼らは元々同族同士でも子は生まれにくいのだが、安産多産で有名な獣人族相手でもそれは同様で、種族を越えた交配では子が出来にくい。その点、異世界転移してきた人間は生命力が高く、更に種の理を超えているため子供ができやすい。何しろ世界、いや、次元を越えてくるような存在だ。

 貴族同士で近親婚を繰り返した人族の王族は、上述のような理由で本能的に異なる血を求める。ゆえに、異世界人に惚れやすい。また、平民や他国の人間より異世界人の方が未知の知識を持っていたり、聖女や勇者、賢者など、他にない能力を持っている事もあるので王族に迎え入れやすい。


 こんな考察を延々としていたミリアリア。

 そう、王族も参加するこの舞踏会会場で。 


 現在大注目は聖女に第三王子の婚約者の立場を奪われた侯爵家の令嬢が、勇者にプロポーズされている場面。いったいどっちが幸せなのか判断に困る周囲の人々。

 聖女は強大な癒やしの力を持っていたが、勇者達の討伐隊に同行したのは第三王子の元婚約者。彼女は治癒魔法も使える光の属性使い。一方、聖女はといえば、居残りしていた第三王子と乳繰り合う始末。まぁ誰も口にしないのだが。

 ちなみにミリアリアも聖女程ではないが治癒魔法が使える。『記憶持ち』のチート能力と睨んでいるが、ミリアリアは一般人として生き抜くと決めているので、その事実を公表するつもりはこれっぽっちもない。ミリアリアの人生の目標は、目立たず、地味に、人に埋もれて凡庸に生きることだった。


 前世では物語の中でありきたりになっていた異世界転生。

 いざ自分がその立場になってみて思ったのは、どうやったら面倒事に巻き込まれず、平穏に人生を全う出来るか、というもの。何故なら過去自分が読んできた物語のどれもが、婚約破棄された令嬢がざまぁ展開でやり返したり、スローライフと言いながら技術や食事等を革新してしまったりして、とにかく目立つ生き方をしていたからだ。

 モブキャラとして人生を終えたいミリアリアには地雷ポイントが山のように存在する。未来の伴侶を探す目的のダンスパーティーはその最たるもので、正直出席拒否したかったが欠席する事で悪目立ちし、逆に変なフラグが立つ危険性を考え、不承不承参加したのだ。


(第三王子は聖女と結婚、元婚約者は勇者と結婚。その優秀な血によって薄められた血(・・・・・・・)が、王族や公爵家とかに還元される。だからって定期的に召喚するのは『拉致』だと分からないのかしら。自分の娘が子供を産ませられる為に召喚という名の誘拐をされるなんて、普通の親には耐えられないわ。だから召喚されるのは、家族的に問題があったり、孤児だったり、事故死寸前の人間なんでしょうね…つくづく思うわ、異世界召喚でなくてよかったって)


 ミリアリアは転生したら◯◯とかでもなく、普通に生まれて来たことを神に感謝した。まぁこういう世界の神は大概何かやらかすようなドジっ子というのも定番なのだが。


 ミリアリアの前世は日本人で、21歳という若さで儚くなった。これといって特殊な知識も趣味もなく、普通の家庭で生きてきた彼女は死因に関しては薄ぼんやりとしか覚えていない。

 11歳の時、特に何か衝撃を受けた訳でも無く、急に前世の記憶が流れ込んできた。それこそ青天の霹靂のように。

 ただ、思い出したからと言って特に行動を起こさないのがミリアリアな訳で。これまでと変わりない生活を粛々と送る事を心がけた。何故ならばこの世界の魔法がどの程度科学に取って代わっているのか分からなかったから。


 異世界あるあるの『マヨネーズ』を広めるのも、生クリームや冷菓等新しい『スイーツ』を広めるのも、衛生面の程度が心配なのだ。現代日本でさえ食中毒があるのだから、この一見中世の世界では殺菌する魔法が無ければサルモネラ菌だったりブドウ球菌だったり、詳しい事は分からないが、そう簡単に食品開発出来ないと素人でも分かる。

 今はこの世界に『浄化』という生活魔法と、冷蔵庫に似た魔道具があると知っているので、マヨネーズもスイーツも問題なく作れる。が、そもそもこの世界は異世界人を召喚しまくっているので、よくある調味料や異世界メニューなんかは既存の技術として広まっていた。

 ミリアリアが出来る事といえばせいぜい、手作り料理で将来の夫の胃袋を掴む事くらいだが、そもそも家格的に料理が許されるのかは嫁ぎ先によるだろう。たまに和食が食べたくなっても、過去の異世界人達のおかげで食材に困る事がないのがありがたい。料理が苦でなかった前世のおかげで、ミリアリアは『カツ丼食べたい!』と思ったらすぐに実行に移せるので、食に関して不満はなかった。食べたければ作ればいいのだ。

 だがそれでも『人の口に戸は立てられぬ』ということわざもあるので、家族はおろか家の使用人にすら見つからぬよう、魔道具の簡易コンロのようなモノを使ってこっそり料理した。異世界人あるあるの時間停止機能付き異空間収納―――いわゆる『アイテムボックス』を持つスキルは転生人にも適応されていたようで、ミリアリアは食材や調味料等を求めて家の冷蔵庫から拝借する必要は無く、割とやりたい放題だった。

 とにかくおかしなフラグが立たないよう、できる限り存在感の薄い令嬢として立ち回っていた―――のだが。


「君、前世持ちだろう?」

「   」


 ズカズカと近付いてきた眼鏡の青年にそう言われ。

 いきなり何言い出すのこのメガネ。

 と、反射のように浮かんだ言葉を呑み込んで、表情を変える事なくミリアリアはおっとりと、天然キャラを装って『はい?』と答えた。絶対に絶対に尻尾を出すわけにはいかない。


「前世、ですか?」


 何も知らない無害そうな顔で男に返しながら、慎重に青年を観察する。

 会った記憶も、親戚にいそうな顔でもない。顔は平凡でごく一般的な……いやまて。この眼鏡はもしかして魔導具で、まさか漫画みたいな『眼鏡とったらイケメン』という展開なのではなかろうか。


「……観察も値踏みも不要だ。証拠は既にある。君、5年前慈善活動で孤児院に行った時『あした天気になーれ』と靴をふっ飛ばして子供達に見せていたろう?前世は日本人だな?」


 アウトだった。

 紛うことなき詰み。言い逃れしようがなかった。

 ぴしり、と表情を固くしたミリアリアに彼はにっこりと笑ってこう言った。


「良かった。ずっと探してたんだ」

「同郷の転生人を探すほど寂しが「いや、嫁にするために決まってるだろ」あ、はい」


 食い気味に被せてくる。


「一応言っとくが、俺は何をしてでも君を娶る。実家の公爵家の権力を使っても、だ。諦めてほしい」

「ぐっ…」


 どうやら逃げ道を塞がれているらしい。

 公爵家から伯爵家への求婚が断りにくい、というより『権力を使ってでも』というワードがシンプルに怖かった。前世でいうところの『ヤンデレ』というやつでなければいいと願うばかりだ。そう、もう逃げられないと悟ったミリアリアには、そう願う他ない。


「まぁそう悲観するな。俺は三男だし、社交も最低限だけでいいから結婚しても気楽だぞ」

「えっ」


 この世界では嫡男の方がモテるが、面倒くさい跡取り息子と結婚したくないミリアリアには青年が輝いて見えた。簡単に心を動かされるちょろいミリアリアは、青年の掌の上で転がされているのだろう。彼女にとっての良条件を青年はたたみかけてきた。


「俺は文官なんだが、前世の記憶があるせいかまぁちょっと優秀でね。仕事は嫌いじゃないが、注目されて周囲が煩くなるのが面倒なんだ。出来れば静かに人生を送りたい。平凡な幸せでいいんだ」

「つまり、目立たず地味に平凡で幸せな家庭を築きたいと?」

「そう。それで価値観が同じような君に「その話、乗ります!!」そ、そうか、良かった」


 ミリアリアの心は薔薇色だった。

 目立たず地味にがモットーの彼女の価値観と合い、面倒な社交界の付き合いも、嫁姑問題もない。しかも価値観が同じって事は浮気の心配も無いのだろう。食事の問題もおそらく日本人同士なら大きくずれる事もないはずだ。

 だが、彼女はうっかりしていた。

 意図せず理想の伴侶を見つけられたという嬉しさで、彼女のモットーが疎かになっていた事に。


「じゃ、早速報告に行こうか」

「報告?」

「そう。会場に両親も来てるし丁度いい」


 青年のセリフに、はた、と我に返るミリアリア。

 よくよく考えてみると相手の年齢はおろか、名前すら知らないではないか。いくら弱みを握られているとはいえ迂闊なのにも程がある。 

 あと、お伺いを立てるのではなく、事後報告になっている事にドン引きだ。両親に許可されなければ囲う気満々なのだろう。普通に怖い。ちなみに自分の両親は家格差で文句が言えないだろう。この世界の婚姻事情なんてそんなものだ。

 急展開ではあるが先程彼が宣言したように、逃げたら地の果てまで追うレベルの執着を持たれているようなので、悩むだけ無駄だろう。紳士的にエスコートされ、ミリアリアは会場へと戻る。そうして件の青年が『これがうちの両親だ』と紹介した先にいたイケオジ―――もとい、中年男性を見て、ミリアリアは自分の迂闊さを死ぬほど後悔した。


「ラルフ?そちらのお嬢さんは…」

「はい。彼女はミリアリア―――俺の愛する人です。彼女と結婚します」


 しようと思ってる、とかじゃなくて断言なんだ。

 ミリアリアだけでなく、青年の両親もそう心の中で呟いた。

 そして、目の前に立つ彼の父親が誰であるか理解したミリアリアはようやく青年の正体を知る。


(公爵、そう公爵家とは言ってたけども、まさかまさか財務大臣であるシュレーゼン公爵だなんて…!しかも大臣の息子って将来有望でもう補佐官になってる三男の…)


「…ラルフェルド・シュレーゼン…っ」


 ミリアリアの小さく、うめき声レベルの呟きを捉えた当人は、すました笑顔のまま『正解』と小さく返す。なにが『静かに人生を送りたい』『平凡な幸せ』だ、完全に詐欺じゃないか。社交界に最低限しか出なさすぎて、彼が誰であるか分からなかったのが悔やまれる。

 今すぐ足のスネを蹴ってやりたかったが自分の迂闊さで招いた事だ。ダンスする機会があれば、思いっきり踏んづけてやろうと復讐を誓い、溜飲を下げる。


「お前ね、いくら何でも突然言われてはいそうですか、と呑めるわけないだろう?そちらのお嬢さんも私の顔を見て驚いてるようだし…話してなかったんだろう?」


 可哀想な子を見る憐れみの視線。

 どうやら公爵の人間性はまともなようだ。


「突然のご挨拶、申し訳ありません…ハウエル家次女、ミリアリアと申します」


 国の中枢を担う人物を前に、ミリアリアは緊張で声がかたくなる。そんな彼女を見て公爵は安心できるように、ゆっくりと笑顔で語りかけた。


「ハウエル嬢、息子が強引にすまない。ラルフが何と言おうと、君が嫌なら私の権限を最大限利用して逃してあげるから心配しないで大丈夫だ」

「シュレーゼン公爵様…!」


 頼もしすぎる味方にミリアリアは頰を紅潮させ、縋るような眼差しを向けた。が。


「父上、ミリーの前世は日本人です」

「ハウエル家の当主に挨拶してこよう。婚約も結婚も最短でいこう。任せておけ」


 一時の夢であった。

 さっきまでミリアリアの頼もしい味方だったはずの公爵は、ラルフェルドのたった一言で敵に寝返り、更に根回しの為に二人の前から消える。

 呆然とするミリアリアに声をかけて正気に戻したのは、公爵夫人でありラルフェルドの母だった。


「ごめんなさいね、ミリアリアさん。ただ、この子の親である私が言うのもなんだけれど…人生、諦めが肝心、よ」

「母上、なんか酷い言いようだね」

「貴方は少しお黙りなさい」

「はいはい」


 とかいいながらも、全く悪びれる様子のないラルフェルドにため息をつく公爵夫人。


「ねえ、ミリアリアさん」

「は、はい」

「私もね、日本人なの」

「えっ?」

「私も、というより、夫も息子も…家族みんな前世は日本人よ」


 そんな偶然あるのだろうか。いやない。

 ちょっとした疑惑だったが確認する必要もなく、すぐに解消された。知りたくなかった、嫌な真実と共に。


「勿論偶然ではないの。そんな運命もロマンティックな展開もなくて…」


 夫人の、憂いを帯びた表情が色っぽいな、とミリアリアは明後日なことを考えていた。何故ならばもう展開が予想できたので思考を放棄したかったのだ。


「私の前世を知った夫に囲い込まれました。幼かった私は何も考えずに前世をペラペラと語っていて…ほら、夫は公爵家嫡男でしょう?一男爵の娘など太刀打ち出来るわけもなく…あっという間に婚約が整い、公爵家へ花嫁修業だと連れて行かれ今この有様です」


 財務大臣の夫人への寵愛は有名である。

 高い身分で政略ではなく恋愛結婚だと聞いてはいたが、まさかの幼児期からの執愛だとは。でも、幼くして両親から離された夫人の心を思うと幸せなのか微妙な気持ちになる。

 そんな私の心を察したのか、夫人は穏やかに微笑んだ。


「夫は私が実家でどのような扱いを受けていたのか知って、家から連れ出してくれたのよ。今ではもう私の実家は公爵家なの。だからそんな顔しないでいいのよ?」


 深くは語られないものの、夫人の生家での生活はよくないものだったのだろう。そこから連れ出し、守り、慈しんでくれた公爵への愛情は夫人からしっかりと感じられた。


「まぁそのおかげで結婚も出産も人よりかなり早かったんですけどね…」

「…ご愁傷さまです…」


 公爵の闇の深さを知った気がした。

 どうか、どうか息子に受け継がれていませんようにと普段感じることのない神に祈る。


「母上、あまりミリアリアを怖がらせないで下さいよ」


 黙っているように言われて律儀に守っていたラルフェルドが我慢できずに口を開く。


「こういうのは事前情報による心構えが大事なのよ」

「余計に警戒されるじゃないですか」

「警戒されないためにその眼鏡(・・・・)を使っているのかしら?」

「母上…っ!」


 やはりというべきか。

 両親の見た目からして、息子がこんな地味顔な訳がなかった。事前に調べ上げたのだろうミリアリアの情報から、彼女の好みそうな見た目に偽っていたのか。

 ミリアリアは気まずそうにこちらを見つめるラルフェルドに呆れはしたが、むしろ好感度はあがった。自分の為に目立たぬよういてくれた事が嬉しくないはずがない。

 

「大丈夫ですよ、ラルフェルド様。私だってイケメンは好きです。お家の中でなら存分に見せてください。目の保養です」


 パアッと、まるで花が咲くかのように擬音が見える笑顔を向けたラルフェルドは、感極まってミリアリアを抱きしめる。異性との接触に(前世から)不慣れな彼女はジタバタともがくが、ラルフェルドの拘束が緩められることはなかった。


「ちょっ、ラルフェルド様…!」

「…ラルフ、と呼んでくれ。君にずっと、名を呼んでほしかった」

「…ラルフ様、離れてください。流石に心臓が限界です」

「5年分だから、もう少し」


 なんとなく、なんとなくではあるが、この人はずっと自分の事を好きだったのではないかと思う。前世が日本人というだけでこの執着めいたものに謎しか浮かばないが。

 これではまるで―――


「番、みたい?」

「!」


 獣人の一部や竜族に見られる伴侶との魂の絆。

 言われてみれば確かに執着具合が似ていた。


「祖先に竜族がいたらしいのよ。ただ、日本人に拘りだしたのは夫からだけれど。他の息子二人はそこに拘りはなさそうなのよねぇ」

「母上。事実は正確に伝えなくては。兄達は確かに前世に拘ってはいません。が、それは今まだ相手が見つかっていないからでは?俺と彼女を見たら、おそらく―――死にもの狂いで探し出すでしょうね、魂の片割れを」

「えっ、そんな命がけなものなの?!」


 ミリアリアがそう突っ込んでも仕方無い程度には重かった。

 何とも愛が重い一族である。竜の血が入っているというのも納得だ。その重さで前世が日本人である子供を3人も引き寄せたのは運命なのか執念が為せる技か。


「目の前でいちゃつかれたら悔しいだろ?」

「そんな身も蓋もない…」


 ミリアリアは何度目かわからないため息をついたあと、未だに解かれない拘束の相手にもたれかかった。心の疲弊からだったが、意外にも真っ赤になって硬直するラルフェルドを見て、『拗らせすぎて女性を知らないのかな』などと大変失礼な事を考えるミリアリアであった。

 そうこうしているうちに、ミリアリアとラルフェルドの婚約が決まり。公爵はミリアリアの両親をどう言い含めたのか、彼女は『花嫁修業』の名の下に公爵家預かりとなる。円満に、と言っていたが権力を使って穏便に、の間違いではなかろうか。


 まぁ概ねハッピーエンド、という事で良いかもしれない。


 その後、勝手に婚約破棄した第三王子が一代限りの公爵位を賜って臣籍降下されていたり、勇者がその功績を受けて叙爵して侯爵家の彼女と婚約したり…なんて事は、ミリアリア達にとってなんて事のない、よくある異世界事情だったのだから。

  



一番喋ってるの、夫人じゃない……?

と、今更気付きました。


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