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第18話 夢から醒めない王子様達

 


(…… 殿下、花は花でもサリーナは毒花ですのよ。もう、全身にその毒が回ってしまわれましたの……?)



 悲しくもあり、腹立たしくもある気持ちで向けられた視線を見つめ返す。



「シルヴィアーナ嬢っ。そうやって令嬢たちを手先に使い、扇動するのはやめてもらおうか。どれだけサリーナを侮辱すれば気が済むんだ!?」


「殿下のおっしゃる通りですっ。これ以上、彼女の名誉を傷つけないでくださいっ」


「そうだそうだっ、サリーナはふしだらな女じゃないっ」


「……」



 言葉が届いている気がしない。


 夢から醒めない王子様達に、いくら客観的な真実を説明しても感情論だけで押し通され、激しく否定されてしまうのだ。



 面倒くささに全てを投げ出したくなるが、一応、婚約者としてはここで放り出す訳にもいかない。



「侮辱も何も……ボートン子爵令嬢のお振る舞いをありのままに述べただけですのに」


 現実を突きつけたにもかかわらず、認識を改めようとはしない彼らと押し問答になってきた。


 そのことに若干イラつきながらも、冷静さを失わないよう注意しながら言葉を返す。



「男性を知り、誘惑することに慣れた方でないと到底考えつきませんもの。貴族令嬢として育てられた者には理解不能ですわ。考えもつかなことを創作出来ようはずがないでしょう? 貴方達が主張するような噂を流すのは不可能です」




「……なるほど。よくわかったよ」



 シルヴィアーナの話をじっと聞いてから深くため息をつき、何やら悟ったように言うランシェル王子。


 そんな彼を見て、ようやく毒に犯されて鈍った思考が晴れたかと安堵しかけたのだが……。



「貴女が常日頃から彼女を色眼鏡で見ているっていう事がね」


「……」



 ――全然分かっていなかった。



 今の状態の王子に一瞬でも期待したのが馬鹿だった。



「……なんて女だ。信じられない。だから咄嗟に彼女を貶める言葉が出てくるんだね」



 またしても自分達に都合のいいように解釈し、勝手に納得しては見当違いの結論を出していたようだ。


 ここまで酷いと逆に見事である。




「そうですね。殿下のおっしゃる通りです。追い詰められて、思わず醜い本性を現しましたか? 語るに落ちるとはこのことですね!」


 シルヴィアーナに侮蔑するような目を向け、吐き捨てるように言うリアン。


「誰からも愛される彼女への妬みと嫉妬心から虚偽の言葉を重ね、こんなに純真な彼女を追い詰めようとするなど、恥を知りなさい」


「そうだぞっ、か弱い彼女を泣かせて……心が痛まないのか! この悪女め!」


 サリーナの言葉だけを信じ、口々に非難する。






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