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(二)-5
アジトには私とデニスの他にも何名か学生の反政府運動に参加しているメンバーがいた。彼らと何度も議論したけれど、大統領が復活した理由がわからなかった。影武者だったと言う結論にしかならなかった。なら、本物はどこなのだろうか。テレビに出ている大統領が全て偽物なのだろうか。
ピョートル・ゲゲチコリという軍人は元ソ連陸軍にいた人物で、ソ連解体後のカヘティ独立の際にカヘティ軍に籍を移した人物だった。性格は残忍で自分の功を自慢するのが好きだった。テレビ演説にも頻繁に出演して自らの武功を繰り返し称えるように訴えてもいた。だから、テレビ演説などに参加するのは、ごく普通だと思った。
とはいえ、クーデター直後は毎日行っていた演説も、最初の暗殺未遂事件以降はあまり表に姿を現すことが少なくなった。自分の身が危険だとわかり、演説やメディアへの露出を控えるようになったのだろう。
(続く)