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(二)-15
「私は中国系ですが、生まれも育ちもこのカヘティ共和国なんです。だからクーデターには反対なんです。それで反政府活動を応援してきたんですけれども、今まで学生グループのリーダーを守ることはできませんでした。でも今回、無事にお守りできたようですね」
「カルヴァシも?」
「あのときは『情報屋』のヤコブ・ナボコフにだまされました。ナボコフは政府側のスパイだったのです。あれはショックでした。彼がいなくなったおかげで、反政府運動の結束力は弱まってしまった。レオンスカヤ氏は、今はEUにいます。でもデニス、あなたは聡明で活動的と聞いています。あなたがいれば、反政府運動は盛り返すことができるでしょう。私は早くこの国を平和にしたいのです。だからあなたたちを救ったのです」
(続く)