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(二)-11
「大丈夫。みんな自分の意志でデモに参加したのよ。あなたを責める人なんていないから」
私はデニスを抱きしめた。もこもこのダウンのコートの上からだったので、上手く抱きしめられなかった。でもデニスは「ありがとう」と言って涙を拭いた。
「学生反政府運動家のデニス・ゴローニンですね」
突然低い男性の声が聞こえた。驚いて振り向くと、すぐ背後に全身黒ずくめの人間が二人立っていた。顔は目出し帽を被り、目には暗視ゴーグルを装着していた。私たちの方には向けていなかったが、機関銃を持っていた。
(続く)