うじゃうじゃ
とはいえ、自分が何でも喋っちゃう性格なのは、カーラ本人が一番よく知っている。
どこかのタイミングでぽろっと喋ってたかも。
「少し休めば回復するわよ」
カーラは、シムィンとシームァにそんなことを言った。
カーラの言葉を聞いても、シムィンとシームァは険しい顔つきだ。
シムゥンの体調が相当悪いんじゃないかと思っていたのだ。
シムィンがシムゥンの頭を撫でてやる。
シームァが両手でシムゥンを抱き上げる。
「寝室に運ぶわ」
ジーラが頷き、シムゥンの部屋へ導く。
シムゥンを抱いたシームァとシムィンは、ジーラとともに別の部屋へと行くのだった。
*
シームァがシムゥンを軽々抱き上げたので、カーラは意外に思った。
そんなカーラに、ゼネバがシームァの両手が機械であることを小声で説明する。
カーラはさほど驚いた様子も見せず頷いていた。
「にしても、ゼネバに邪眼かけたのは誰かしら?」
カーラの問いに、ゼネバは黙り込む。
誰かにキスされたような感覚があり、それを思い出すと嫌な気持ちになる。
「あのお爺さんもあの子も魔力が強いけど……? どうも違うわね」
それを聞いて、ゼネバはだろうなと思う。
「他に何か妙な気配は感じないか?」
「多すぎて特定できない」
先ほど、カーラが首を振ったのは気配がないのではなく、特定できないという意味だったらしい。
「ここすごいわね。強い魔力がうじゃうじゃいるわ」
「うじゃうじゃか……」
そんな場所に単身乗り込んだ自分は身の程知らずだったか、なんてゼネバは思う。
たまたま、ジーラとシムゥンに拾われたからよかったが。
「魔法使い同盟というくらいだからな」
「そうねぇ?」
と、カーラが玄関の方を見る。
ゼネバもその理由に気づいて、玄関を見る。
嫌な気配だ、直感でゼネバはそう思った。
一人の男が入って来たのだ。
ゼネバは警戒するが、カーラはにこやかだった。
「こんにちは?」
*
入って来たのは、イオだった。
イオは特に客人に名乗るでもなく、家の中を見回す。