異世界
「そうなんだ。じゃあ、邪魔しちゃ悪いよね」
シムゥンはどうやらシーザーの好きな子はこの近辺にいて、シーザーと日常的に会話するくらいの関係だと思ってるようだ。
そういう状況でもないけど、とシームァは思った。
まさか異世界の人物とは思うまい。
「ふうん、シーザーって好きな子がいるのね」
と、つぶやいたのはカーラだった。
その一言で皆の視線がカーラに集中したので、カーラは焦った。
「あ、いえ、ごめんなさい。話に割り込んだつもりはないの」
「……?」
シムゥンは不思議そうにカーラを見ていた。
「あ、初めましてね。ゼネバの相棒の見習いアンドロイドハンターのカーラよ」
「すまない。止めたんだが、無理やりついて来たんだ」
ゼネバが弁明する。
シムゥンはじっとカーラの顔を見た。
「あら? お姉さんが美人すぎて見惚れちゃったのね」
カーラは微笑むのだが、シムゥンは不審なものでも見るような顔つきだった。
シムゥンはじっとカーラを見ていた。
一見、大した魔力はなさそうな女性。非力そうにも思われる。
だが、その奥に何か隠されてる……?
それを見抜こうとして、なかなか見抜けないことに気づいた。
「……ゼネバさん、すごい相棒と組んでるんだね」
「そうか?」
意外そうに、ゼネバはカーラを見る。
「かなりの魔力をずっと隠してるんだから、本気だしたら、きっと……」
言いながら、シムゥンは激しい脱力感に襲われる。
カーラの奥底に潜む能力は……? どうにも見抜けそうにない。
シムゥンがすうっと目を閉じた。
カーラとのやり取りの途中だったので、シムィンはカーラが何かしたのかと焦る。だがそうではなさそうだ。
カーラもじっとシムゥンを見ていた。
「魔力が体力に連動しちゃうタイプの子みたいね。私の弟も小さい時そんな感じだったわ」
「弟がいたんだ」
と、ゼネバ。
「あ、言ってなかったっけ?」
カーラは気まずそうに答えた。
まさか、その弟のカノジョを寝取って、弟に絶縁されたなんて言えない。