ロックオン
それなら犯人が見つからないのはおかしな話だ。
「動かない?」
ケイが聞き返す。
そうして、犯人がアンドロイドだったのか気づいた。
その可能性を考えなかったわけではなかったが、周囲にそれらしきものはなかった。
最近、アンドロイドの部品がたくさん落ちてたからそれだろうか、と思いはするが……
「砂漠には見当たらないから鉱山の方に隠れてるのかとも思ったんだけどね。情報ありがとう。もう一度、捜索してみるよ」
と、ケイは立ち去ろうとする。
「待って」
シムゥンが呼びかける。
聞きたいことはたくさんある。
「どうして、シームァの目を治してくれたの?」
「こちらの勘違いでね、見えない目を治してしまって。見えないまま帰したら気の毒だからね」
罪悪感から治療をしてくれたということだろうか?
「そのために一緒の部屋にいたの?」
ケイは、シムゥンが何を心配していたのかわかった。
シームァが、ふふっと小さく笑う。
「え? シームァ?」
シムゥンは動揺する。
シームァとケイが恋仲なのだろうか、と。
「大丈夫よ。この人は……」
と、シームァは言いかけて、困った。
ケイのプライバシーを、シームァがたやすく公言してもいいのだろうか?
「別に言ってもいいよ。僕は女にまったく興味がないから」
「え!」
予想外な言葉だった。
「とはいえ、子どもにも興味ないから、きみに手を出したりなんかしないよ」
安心してね、なんてケイは付け加えた。
「………」
シムゥンは首を傾げながら頷く。
高ぶった感情に、複雑な気分で、目の前の男の性癖を聞かされ……?
「え?リム?」
そんな時だ。
ケイが女に興味ないという事実を知り、リムが喜んでいるのがわかった。
「じゃあね、シームァ君。元気でね」
「えぇ、あなたも」
そんなケイの姿を、リムは名残惜しそうに見ていた。
「あの人、故郷で偽名使ったり顔を隠して生活してるんでしょ?」
小声でシムゥンがシームァに聞く。
シームァが頷く。
「だったらさ……」
――攫っちゃおうか?
なんて、シムゥンはリムに提案してみる。
――僕とリムとシームァがいれば可能だよ。
その提案に動揺するも嬉しそうなリム。
まだ恋とはいえない思いだけど、リムにそんなかわい一面があったんだと思うシムゥン。
なんとか、この恋を成就させたいと思うのだった。
終わり
最後まで読んでいただきありがとうございました。




