ケイと
だが問題ない。近くにシムゥンがいる。
シムゥンならこの異常事態に気づいてすぐ助けに来るはずだ――。
*
次に気づいた時は、廃墟の中だった。
シムゥンはいない。
そのかわり、黒髪の男がこちらを見下ろしている。
――さっきの男の仲間か?
かく言うこちらは服が破れ、胸元があらわになっている。
シームァはさっきまで泣いてたみたいだ。
襲撃された後は貞操の危機か。つくづくついてない。
体力は回復していない。体を動かすことはできなかった。
なので、魔法で攻撃する。
目を狙う。
――シームァの感じた痛みを思い知れ!
だが威力が弱い。
なので、魔法で呼吸の妨害をする。
男はひるまない。
何か喋っているようだが、よく聞こえない。
シームァの泣き声や震えをびしびし感じる。
――とにかく、シームァを守らなければ……!
途中、男はリムの存在に気づいた。
得体の知れない存在に気づけば、恐れ、離れるだろう。
だが男は離れなかった。
どういうわけか、シームァを治療をしている?
いつしか震えていたシームァは安らかに眠っていた。
この男の魔法による効果のようだ。
――やれやれ。助けてくれた相手を攻撃してたのか。
リムは後悔していた。
男は治療魔法だけじゃなく回復魔法もかけてくれていた。
シームァの体力が若干回復し、リムは起き上がることが出来た。
気絶しているその男を今度はリムが治療する。
それから、シームァとその奇妙な男――ケイは、共に行動するようになる。
* * *
――不思議な男だ。
リムはつくづくそう思った。
廃墟だと思ったのは、実はケイの家なのだという。
そういうことには無頓着な男なのかと思えば、客人のためにどこからともなくテーブルとチェアを調達してきたり。人をもてなすという意識はあるみたいだ。
自分を攻撃してきた相手に、食べ物を恵んだり。
これは本当にありがたかった。リムが魔法を使うためには、シームァの体から栄養補給をする必要がある。
リムには味はよくわからないが、シームァの様子から察するに美味しい料理なのだろう。




