出世
「しかし、ここは客を招くには殺風景な……」
ジーラの言葉に、シムゥンは部屋を見回す。
「うん、確かに」
灯りはあるが、洞窟の中で荷物がガラクタか分からないような物が雑然としている。
ジーラが言うように客を招くような部屋ではない。
――これって、今後の課題だな。
ゲートで誰か招いてもこの場所では……?
とはいえ、まだゲートを招くために使うかどうか未定なのだが。
ふと、テーブルを見た。
思えば、こんな客を出迎えるのに不向きな部屋に、イオはおもてなし用のアイテムを揃えてくれたのだ。
叱責だけじゃなく、その点を褒めておくべきだった。
後でフォローしなきゃと、シムゥンは思った。
そんな思いを知ってか知らずか、シームァがこんなことを言う。
「シムゥン、出世したのね」
「出世?」
それは予想外な言葉だった。
そんなこと考えたこともなかったが、確かに生まれる前のことを思い出したシムゥンは、ここでの地位はかなり上がっていた。
加えて魔力に知識もかなり増えた。いや増えたというより取り戻したが正しいかもしれない。
「確かに、出世といえば出世なのかも」
とはいえ、なんだかしっくり来ないような気もしていた。
そんなシムゥンにジーラが肩に手を置く。
「そうだな。出世だな」
「え!?」
シームァの言葉は予想外だったが、ジーラが肯定したのはもっと予想外だった。
「これから、もっと出世して、この魔法使い同盟を引っ張ってくれ」
と、ジーラが言う。
きっと、そのために彼らはあんな儀式をしたんだろう。
その心境はわからないでもないが。
「子どもの僕にそれって荷が重すぎない?」
「平気さ」
と、言ったのはリムだ。
「私と一体になってしまえば造作もない」
「それもそうだね」
シムゥンはにやりとし、立て掛けてあったリムを手に取る。
「いつか、一緒になろう。近いうちにきっと……」
シムゥンはそう決意していた。
両腕で剣を抱え、まるで大事なものを守ってるかのようだ。
「そのためには魔法使い同盟みんなの協力が必要だから。ジーラ、頼りにしてるよ」
この時のジーラは、まさかシムゥンが頭の中にリムを埋め込もうとしてるなんて思いもしなかった。
剣を握り、何か決意した様子のシムゥン。
シームァには頼もしく見え、シーザーには年下なのに大人びて見えていた。
リムはそんなシムゥンが誇らしく見えた。
というわけで、メインの話はここまでとなります。
あと、数話、おまけの話となります。




