不思議
シーザーはぽかんとし、周りをきょろきょろする。
やがて、今までいた場所とまったく違う場所にいると自覚する。
「……すごい!」
シーザーはシムゥンの手をつかんでいた。
「すごい!すごい!」
強引につれて来たからてっきり怒られるかと思ったが、予想外に褒められシムゥンもぽかんとした。
「うん。すごいでしょ?」
シムゥンは、シーザーのその一言を嬉しく思った。
思い返せば、ゲートを繋いで褒めてくれたのはシーザー以外誰もいなかったのだ。
「これって、エルフの森にも行けるの?」
シーザーの問いに、シムゥンは首を傾げる。
「さあ? エルフの森は行ったことがないから……」
「あるぞ」
と、リムが話す。
「エルフの森は一緒に行ったことあるぞ」
「そうだっけ?」
シムゥンは、リムに言われてもエルフの森に行ったことを思い出せない。
「エルフがジュピターのことを人間だと思い込んでたのは傑作だったな」
「そうなんだ。ジュピターはエルフの森に行ってたんだ?」
「そうだ」
「どうだった?」
シムゥンは首を捻る。
「思い出せないのか?」
「……残念ながら」
「なら、私と一体になってしまえばいい。記憶も共有できるしわざわざ思い出す手間も省けるぞ」
「それ、いいねー」
シムゥンは言われてはじめてその方法に気づいた。
それをやるとすれば脳内にチップを埋め込むようなことになるのだろうか?
多少危険かもしれないが、魔法使い同盟の知識と技術をフル動員すればなんとかなるだろう。
「誰と話してるの?」
シーザーがシムゥンに尋ねる。
リムの声が聞こえないシーザーにとっては、会話の途中で急に一人事を喋りはじめたシムゥンが不思議に思えたのだ。
「ちょっとね」
「その剣ね」
シームァが言った。
シムゥンは意外な気持ちでシームァを見た。
シームァの目は機械なのを思い出し納得する。リムと共通するものがあるのだろう。
「中に違う材質が含まれてるみたいだから」
「材質?」
「温度が見えるの」
温度が見える目だから、そんなことがわかるみたい。




