チャレンジ
シームァは、尚もそこにいないはずのシムゥンを見ていた。
シムゥンは今度はじっくりこちらを見ている。
その表情はどうにも気難しい。
これは死んだ魂が最後に挨拶に来たとか、そういうオカルト的な現象なのだろうか?
そう思うと悲しくなる。
――シムゥン?
シームァは呼びかけてみる。
呼びかけても、返事するはずもなかった。
シムゥンは困ったような顔をして、頭をぼりぼり書いて、また人差し指を振ってる……。
――何? 何してるの?
そこでシームァは気づく。
今、見えてるシムゥンは、脳裏に浮かんだ姿というより本当にそこにいるかのようだ。
――これって……
シームァは、いないはずのシムゥンの姿を凝視していた。
*
「シームァ?」
カーラが呼びかける。
シームァが黙り込んでるので、怒ってると思った。
「いいことって?」
シーザーがカーラに尋ねる。
「大人になったらわかることよ。――ね? シームァ?」
カーラはシームァの肩に手を置く。
その表情は心ここにあらず、といった感じだった。
シームァはどこか一点を見つめている。
カーラも同じところを見てみる。
それはゲートの後ろ側というか向こう側。
だが、そこには何もない。
「シームァ?」
シームァは思いつめたような顔つきでゲートの後ろ辺りを見ている。
すると何を思ったか、突然ゲートの扉を開けた。
カーラの表情が凍り付く。
異様な魔力を感じたからだ。
シームァは扉の中に入る。
「ダメ! シームァ!」
何か危機感のようなものを感じ、カーラはシームァの体をつかんだ。
カーラが力強くシームァの体を引っ張る。
「あ、あれ……?」
すると、シムゥンもついて来たのだった。
*
「ええええっ!?」
大声を上げたのはシーザーだ。
「あれ、あれ?」
シムゥンはぽかんとしていた。
魔法使い同盟の洞窟の中、邪神の間で例の絵画のようなゲートでの移動にチャレンジしていたはずだった。
なぜか大反対するリムを説得しつつ、移動にチャレンジしていたはずだった。




