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機械仕掛けの魔法使い~僕と邪神様~  作者: チク
僕と邪神様

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34/53

脳裏


 一緒に研究所に入るよう促され……


「そういうのはちょっと……」

「そういうのってどういうの?」

 カーラの顔が近い。

「あの?」


 カーラの腕に力を感じる。

 このまま押せばいける!という確信があるようだ。


 しょうがないと思いつつ、シームァはゲートの方へ振り返る。


「あれ? シーザーがいる」

 と、指さす。



「え? 本当?」

 カーラがゲートの方に目をやると、シーザーに気づいた。

「シーザー」

 名前を呼びながら、そちらの方へ行くのだった。



     *


 ゲートの前で、涙ぐんでいたシーザー。

 名前を呼ばれハッとする。


「シーザー」

 名前を呼んだのは、カーラだった。


「あ、カーラ。研究所にいたんだっけ」

「そうよ。ねぇ? シーザーって好きな子とかいるの?」 


「えっ!?」

 シーザーは今まさにその好きな子のことを思い出し、泣きそうになっていたのだ。


「あの、ちょっと……」

 後ろからついてきたシームァは、カーラの服を引っ張る。


 シーザーは泣いてたように思う。視力のいいシームァにはそう見えた。

 おそらく、その子のことを思い出していたんだと思う。

 そんな心境のシーザーに、少し無神経な質問だと思ったのだ。



 シームァが小声で催促するような喋り方なものだから、カーラは誤解する。

「いいことする気になったの?」


「じゃなくて……」

「照れなくていいわよ」

 カーラは、シームァの手をがっしり握る。


「悪いけど、そんな気分じゃないの」

 シームァは、そっとカーラの手を離す。


 カーラに好意はあるし、シーザーを傷つけたくない気持ちもあるし、だけど今一番強いのは弟シムゥンのことだ。

 シムゥンは無事だろうか?




 ふと、シームァの脳裏にシムゥンの姿が見えた。

 シムゥンは困ったような顔をしていた。


――もしも、姉が他の女性に言い寄られている場面を目撃したら、そりゃ困るわよね。


 ふと、シムゥンが人差し指を振っているように見えた。

 こちらの考えを否定しているようだ。


――え? この恋、応援してくれてる?


 いやいや、そんなわけはない……?

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