慕う
ジーラは何も知らないシムゥンに睡眠薬を飲ませたりしていたのだ。
本当にシムゥンを大事にしてるなら、そんなことは決してできないはずだ。
とはいえ、ジーラは時折涙ぐんでる様子も見せていた。
シムゥンの頬に手を触れて、そのぬくもりを感じてほっとしていたり。
その様子を見てリムは気づいた。
目の前のジーラが、かつてジュピターを慕っていた子どもだと。
シミュレーションロイドとして生まれてきた子ども。
不幸にも内臓の半分ほどが機能してないとか。
リムの脳裏に記憶がよみがえる。
昼間はジーラと遊んでいたジュピター。
夜になると、ジュピターは人知れず泣いていた。
ジュピターと長く一緒にいたリムだが、ジュピターが泣いたのを見たのはその時だけだったように思う。
いよいよ、ジーラが危ないという時、ジュピターはジーラの体にに魔導機械を施す手術をした。
ジーラは助かったが、ジュピターは時折後悔もしていた。
機械じゃなくて生身の人間として生かしてやりたかった、と。
――機械のお前がそんなこと言うのか?
リムの嘲笑に言い返すでもなく、ジュピターは力なく頷くだけだった。
その後のジーラは、ますますジュピターを慕うようになった。
ジュピターもジーラを可愛がり……
リムには、ジュピターがなぜまたこの地に生まれて来たのかわかったような気がした。
――ジュピターもシムゥンもこいつらに裏切られても傷つけるようなことはしないんだろう。
魔法使いたちは邪神を崇拝している。
もしもその邪神以上の崇拝する対象を見つけたとしたら?
そうなったら、今度こそシムゥンと異世界にでも逃亡しよう。
「そのためにも、早く私と一心同体になろう」
そうつぶやく。
眠ってるシムゥンに聞こえただろうか?
* * *
眠っていたシムゥンは程なくして目を醒ました。
ジーラはシムゥンを抱きしめ、泣いて喜んでいた。
ジーラに叱られ、そこで自分が危ない状態だったと知らされたシムゥンだった。
「心配かけてごめん」
シムゥンは言い訳するのだった。




