失望
しばらく、リム目線で進行します。
シミュレーションロイドの子どもなのは言わずもがな。
子ども一人でこの部屋にやって来るのは珍しいと思った。
ジュピター亡き後は、大人たちがジュピターを復活させようと躍起になってるのは知ってた。
壊れたジュピターの部品でアンドロイドを作り出したのも知ってる。
そのアンドロイドに魂が宿ることはなかった。
そのアンドロイドに邪神復活の儀式と称し、ジュピターの魂を宿らせようとしていたのも知っている。
だが、それは失敗に終わった。
――魔法使いのエリートたちの実力もこんなもんか。
リムは失望していた。
そんなリムの元にやって来た一人の子ども。
リムは驚き、歓喜する。
その子どもこそがジュピターの生まれ変わりだと、一目でわかったのだ。
――待たせず過ぎだ。
だが、リムの歓喜あふれるその声が子どもには聞こえてないようだった。
長い年月がリムから魔力を奪ったのか、それともこの子どもの感覚の問題なのか。
「うわ、埃まみれ。きったねー」
リムはかちんと来た。
子どもは恐る恐る剣を触る。
「でも、これ、すごい魔力。神魔導機械の一種かな」
恐る恐るではあるが、子どもは剣を持ってみる。
――魔力が強くて当たり前。かつてのお前の右腕だったんだからな。
右腕というのは比喩だ。
――もとい、お前のパートナーだ。
しかし、言ってしまってから、リムは自分の言葉のおかしさに気づく。
ジュピターは機械だ。
右腕の部品として、リムが使われてもおかしくなかった。
いや、この場合のおかしくないという言葉は、不正解ではないという意味で、おもしろくないという意味ではない。
――ぶほっ!
一人で勝手にツボに入ってしまったリムだった。
「なんか笑ってる。キモい」
この一言にリムは怒る。
いや、そもそも久しぶりに会ったと思えば、きったねー呼ばわり。
昔から失礼なやつではあったが、今回もまた随分と失礼な子どもだった。




