待ちぼうけ
* * *
シムゥンは邪神の間に帰って来た。
「寒っ……」
思わず、そうつぶやく。
寒さを実感すると、自分の故郷に帰って来たんだと安堵感もあった。
だが、指先が妙に冷たい。
指先だけじゃなく、手、腕、肩、全身が冷えている。
「おい!大丈夫か?」
リムの声がどうも遠くに聞こえる。
「うん。ちょっと眠い」
「寝るな。凍死するぞ」
「おおげさ」
リムの言葉に思わず笑ってしまう。
風邪くらいひくかもしれないが、さすがに凍死まではいかないだろう。
リムが何やら文句を言ってるようだが、「後で聞くから」と答えていた。
リムの声を聞きながら、シムゥンは剣を両手で抱きしめるように座り込む。
「ちょっと魔力使い過ぎたかも」
ゲートの使い道がわかったこと、聖剣ことリムを発見できたことは、なかなかよかった。
あとで、ジーラやイオにも報告しておこう。
そんなことを考えながら、シムゥンは眠ってしまっていた。
* * *
『必ず迎えに来るから』
ジュピターはそう言った。
リムはその言葉を信じていた。
だが、待てど暮らせど彼は来ない。
もう来るはずがないのだ。
それもそのはず、ジュピターは壊れてしまったのだ。
リムにはそれがわかっていた。
壊れた後のジュピターの魂は、しばらくリムのそばにいた。
――バカめ。迎えに来ると言ったくせに。
ジュピターの魂は何も答えなかった。
ただいるだけだった。
無念だったのか、それとも無意識なのか、リムにはわからない。
ジュピターが一緒の空間にいる、ただいるだけでよかった。
リムは、ジュピターの魂に何度となく語り掛ける。
――まだ待ってればいいのか?
いくらリムが話しかけても、ジュピターには聞こえていないのか、返事はない。
そのうち、魂の気配も消えた。
することのないリムはただ待っていた。
いつか何らかのアクションがあるかもしれない、なんて淡い期待もあった。
それとも新しい主人にでも見つけてもらおうか?
*
そんなリムの元に、栗色の髪の子どもがやって来る。




