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失礼


「あ、いや……?」

 ジーラは言葉に詰まっている。明らかに狼狽えている。

「そんなはずは……」



「ジーラ、どうしたの?」

 と、シムゥンが尋ねても、ジーラは歯切れが悪い。



「お客さん?」

 シムゥンは、もう一人の男に尋ねる。


「あぁ、イオさん」

 シムゥンはその男を会ったことがある。

 シムゥンとジーラが属する魔法使い同盟の男だ。


 魔法使い同盟は今は魔導機械の開発に力を入れてるわけだが、このイオという男はどうだったか?



「ほう、覚えていたか?」

 イオの目が赤く光る。

 邪眼を使っているのはわかったが、魔法の強いシムゥンはそれを無効化できた。



「僕と力比べがしたいの?」

 シムゥンは魔力が強い。シムゥン自身もそう自負していた。

 イオのことを深く知ってるわけではなかったが、負ける気はしない。

 売られた喧嘩は買ってやろうと思った。



「おやおや、威勢のいいことで」

 そうやって、イオはにやりとした。

「これなら、いい依り代になりそうだ」



「何の事?」

「説明したところでどうせ忘れるだろうから、意味はない」

 イオがにやりと笑ったままだった。

 シムゥンは喧嘩を売られた上に、記憶力が悪いんだとバカにされたがムカついていた。


 だが、シムゥン以上にジーラが怒っていた。



「イオ! もう帰る時間じゃないか!」

「おや? 夕飯をご馳走してくれるかと思ったのに」

 テーブルの上には夕飯の準備が出来ていた。


 魔法使い同盟たちは同じ洞窟の中に住居を構えている。急にごはんをご馳走したりされたりすることはさほど珍しくないのだ。

「二人分しか用意してない」

「まあ、最後の晩餐になるかもしれないからな。せいぜい楽しんで」

 イオはシムゥンを見てそう言った。にやにやしながら帰って行った。



「イオさんってあんな失礼な人だったの?」

 シムゥンは憤慨していた。

 過去に話したことがあったが、そんな失礼な態度を取られたような記憶はない。



「あ、いや。そんなことより夕飯にしよう」

 ジーラは無理やり話を打ち切った。


「うん、そうだね」


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