聖剣
シムゥンの後ろについて来ていたイオは感慨深げだ。
「だから、こうして、また邪神の魂があなたに宿った……」
――違うんだけどな。
シムゥンは思う。
「たぶんだけど、魂を封印なんてできないよ。そこに魂が宿ったんだとしたら、そこにいたいと本人が望んだ場合だけ」
「そうかもしれません」
イオの答えを、シムゥンは意外に思った。
反論されるかと思ったのだが……
考えてみれば滑稽だ。
邪神の生まれかわりに、邪神の魂を宿そうとしたんだから。
いつかこのことをみんなに教えたいと思ったシムゥンだが、とはいえ、上手く説明できそうにない。
今はリムのことが気にかかる。
シムゥンがきょろきょろ辺りを見回すと、突然、イオが声を荒げた。
「ここにあった聖剣はどうした?」
――せいけん??
シムゥンは首を傾げる。
邪神の間に聖剣?
「邪神様愛用の聖剣はどうした?」
イオは後ろで控えている魔法使いたちを恫喝している。
魔法使いたちは狼狽えてるようだ。
「僕、そんなの使ってないよ」
シムゥンは訳がわからない。
「何を言ってるんです? あなたご自慢の武器でしょう?」
シムゥンはじっとイオを見た。
子どもだったジーラが老人になるくらい時間が経っている。それなのに、イオは当時の姿のままでいる。
それってどういうことなんだろう……?
――何かとんでもない記憶違いをしている?
シムゥンは辺りを見回す。
多くはないが、何か飾ってるのかただ置いてるのか……
かつてのジュピターの持ち物だろう。
それらを見ても何か思い出らしいものは思い出せず。
――聖剣? 聖剣ってなんだ? いやいや、今はリムを探さなきゃ。でも聖剣って何だ?
頭の中でぐるぐる考えて、はっと思い出した。
「……僕だ!」
「そうです。邪神様の剣です」
「じゃなくて、それ、僕」
ジュピターが何か剣を扱っていた記憶はない。
だが、シムゥンにはあった。
あれは、小さい頃、洞窟の中を探検ごっこをしていた時だ。
そうだ!
まさにこの部屋だった。
シムゥンはだんだん思い出した。




