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機械仕掛けの魔法使い~僕と邪神様~  作者: チク
僕と邪神様

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真の主


「ジオ、どけ」

 ステラが言っても、ジオはどかない。


「イオ。ジオをどかせろ」

「ジオ、ステラをつまみだせ」

 とイオが命令しても、ジオは動かなかった。



 その様子に、イオはやれやれとため息をつく。

「どうやら、じゃし……シムゥンを真の主と認識したようだな」


「これからは、シムゥンのそばにいてお仕えするんだ」

 イオが言うと、ジオは無言で頷いた。



「いやいやいや、待ってよ」

 シムゥンが批難めいた声を上げたので、イオは意外に思った。


「何か問題でも?」

「自分と同じ顔が隣にいるって落ち着かないよ」

 ジオはかつてのジュピターの部品から作られている。


 前提として、シミュレーションドールもシミュレーションロイドも同じものは作ってはいけないという大義名分がある。つまりジュピターは大量生産されたわけではないし、同じ顔のアンドロイドは見たことない。


「まあ、そうか」

 イオはシムゥンの心情をなんとなくは理解した。


「それに作ったのはイオなんでしょ? イオに仕えるのが筋ってもんじゃないの?」

 シムゥンが言うと、ジオはやはり無言で頷いた。



「真の主がそういうなら、ジオはこれまで通り私といることにしよう」

 イオがそう言ったので、ジオはイオの命令通りステラをつまみ出そうとする。


「つまみ出さなくていい。僕が邪神だとしてもみんなが望むことはしてやれないし……。そもそもなんで邪神復活させたかったの?」

「邪神様の偉大な能力を復活させることが目的だった。邪神様にしかできないことがあるから。我々はそれに期待している」

 あやふやな答えだと思った。


 だが、そこを突き詰めて追及しても明確な答えはないだろう。

 シムゥンはシムゥンなりに納得した。



 そのやり取りを見て、ステラもそれなりに納得したようだ。

「わかった。シムゥンを邪神だと認めよう」


 意義を唱えていたステラが納得したことにより、問題はなくなったとばかりに皆が安堵する。



――邪神じゃないんだけど……

 それを言ったところで話はややこしくなるだけか、とシムゥンは苦笑するのだった。


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