異議
「それ、悪口だって。何回も何回も名前言ったのに」
だが、イオはじめ他の魔法使いたちからジュピターの名前が出ることはなかった。
「そういうヤツらだったよ……」
シムゥンはうんざり気味につぶやく。
何回説明しても、誰も名前を呼んでくれなかった。
そういえば、ジーラだけは名前呼んでくれたっけ?
子どもだから、素直にいうこと聞いてくれていたんだろう。
「ジーラ、僕の名前は?」
何気なく尋ねた一言だったが……
「シムゥン」
ジュピターではなく、その名前が呼ばれたことがとてつもなく嬉しかった。
「うん!」
シムゥンはジーラに抱きつくのだった。
* * *
「シムゥンだと?」
と言い出したのはステラだ。
「こいつは邪神様じゃない」
ステラは邪神復活の儀式に参加してた魔法使いの一人。
同じ洞窟内で生活してるのだ。
当然、シムゥンはステラを知っている。だがジュピターの記憶にステラのことはなかった。
「そうだよ。僕はシムゥン」
シムゥンの一言に魔法使いたちはざわつく。
「皆、落ち着け。邪神様は邪神様と呼ばれるのを大層嫌っていたんだ」
イオが説明する。
「これまで通り、シムゥンと呼ぼう」
「詭弁だ。本物の邪神様なら証拠を出せ」
ステラがシムゥンに詰め寄る。
シムゥンは反論する。
「そんなの出せるわけないよ。邪神が生きてた時はステラは生まれてないし、何をしても証拠になんかならないよ」
シムゥンの一言に、イオは満足げに頷いていた。
邪神が生きていた頃の記憶があるということは、目の前のシムゥンは間違いなく邪神であると、さらに確信したのだ。
「では、これは……」
ステラが魔法を念じていた。
「邪神様ならこの程度の魔法攻撃どうってことないはずだ」
「……ちょっと待って!」
シムゥンは焦る。
「邪神は魔法耐性の強い機械の体だったから平気かもしれないけど、僕、生身の人間だよ。そんなの喰らったら……」
そんなシムゥンを守るかのように、ジオがその前に立ちはだかる。
「ジオ?」
魂は宿ってない機械だが、なんらかの意思はあるようだ。




