嗚咽
「じゃあ、帰りもジーラさんでいいのに」
「おまえたちを確実に送り届けたいからな」
「あら、親切なのね」
確実に送り届けたい――つまり、帰ったフリでもして魔法使い同盟の地に残ってたりしたら厄介だと判断されたのだろう。
ジーラとシムゥンの様子から察するに、何かあの二人にまずい状況なのは間違いなさそうだ。
二人を連れ出すにも、魔法使い同盟の中だ。到底、無理だ。
「あの子は具合が悪いのか?」
と、ゼネバがイオに尋ねる。
さっきカーラが質問した時、本人は風邪気味だと言ってたのに、ジーラは訓練の疲れと言っていた。
そこも引っ掛かっていたのだ。
「シムゥンのことか? あの子は健康だよ」
「そうは見えなかったが?」
ゼネバが言うと、シムィンとシームァは暗い顔をした。
「ゼネバ、何言ってるの? ちょっと疲れてるだけであの子は健康よ」
と、カーラが言う。
「なら、いいんだが……」
「あの子が本気出したら、魔法使いの同盟の誰もかなわないわ」
「ほう……?」
それを聞いて、イオが興味深そうに感心したようにカーラを見た。
「なかなか、見る目があるようだな」
「私に惚れちゃダメだからね」
カーラがイオにそんなこと言っていた。
本気出したらという言葉は、本気を出せる前提の言葉で、今のシムゥンは本気を出せる状況なのだろうか?
「あ、ねえ、ゼネバ、怒んないの?」
カーラがすがるような目をしてきたが、ゼネバはシムゥンのことが気掛かりだった。
* * *
ジーラが泣いている。
「すまない。許してくれ」
嗚咽混じりにそんなことを言ってる。
これは自分に言ってるのだろうか? とシムゥンは思う。
――別に謝る必要なんかないよ。
そう言いたいのだが、いかんせん起き上がれない。
どういうわけか体が動かない。
目も開かないし、腕も上げられない。
眠ってる状態でもない。
自分の身に何が起きているか、シムゥンにはよくわからなかった。
詠唱が聞こえる。
何人もの詠唱が……
何人ものの詠唱が頭の中で響いてくる。
あけましておめでとうございます!




