帰り
「にしても、この車、すごいわね」
カーラは窓の外を見る。
「魔導リムジンだ。研究所まで一時間足らずで行ける」
そう説明するイオはどこか得意げだ。
「まるで、お部屋にいるみたい」
窓の外を見ていたカーラは、今度は車内を見回している。
まるでソファのようなシートは向かい合うように配置されている。
車の中、高速で移動してるはずだが、揺れも感じず、ちょっとした応接室にいるかのようだ。
車内では、ゼネバもシームァもシムィンも黙って座っていた。
テンション高いのはカーラだけだ。
魔導リムジンとやらが相当珍しいのはわかるが。
――妙な構図だ。
ゼネバは思う。
ことの発端は、ジーラが「シムゥンに会ってやって欲しい」と突然やって来たことだった。
しかも、訳は聞かずに、と念押ししてだ。
急なこと過ぎて、思わず「手ぶらというわけにはいかない」と口から出まかせ言うと、わざわざ逆方向の港町の土産物屋まで寄ってくれると言う。
断る口実もなくなり、カーラと一緒に車に乗り込むと、すでにシムィンとシームァが車に乗っていた。
運転しているのは、ジオという無口な男。
魔導リムジンを運転するくらいだから、相当な魔法使いなのだろう。
そうして、シムゥンの好きな菓子折を買って、魔法使い同盟の洞窟までやって来たのだ。
シムゥンが喜んでくれたようなので来てよかったが、本当は兄弟だけで再会すべきだったんじゃないかとも思う。
そのシムゥンの兄弟、シムィンとシームァはシムゥンと離れたくなさそうだったが、半ば強引にこの魔導リムジンに乗せられ帰るところだった。
「行きはジーラさんだったのに、なんで帰りはイオさんなの?」
カーラはのほほんとそんなことを聞いていた。
どうも、カーラはこの異様な雰囲気がわかってないようだ。
「なんの面識もない私が迎えに行っても、不審に思われるだけだろう」
イオはさも当然とばかりにそんなことを言う。
「それもそうか」
と、納得したカーラだが、新たな疑問が湧く。




