24:レイル対“制裁”
すいません、短めですorz
「すいません、後はお願いします…」
痛々しい笑みを浮かべて言い残すとエリファスは気を失う、それを確認したレイルは制裁と向き合う。
仮面には蹴られた箇所を中心に半ばほど亀裂が入っており、制裁は頭を振るうとレイルへと顔を向けた。
「クソが、アステラの馬鹿はしくじりやがったか？」
愚痴を吐き捨てながら剣に魔力を注ぎ込んで黒く染めると一歩で距離を詰めた制裁がレイルに襲い掛かる。
レイルも同じ様に剣を黒く染めて応じる、黒刃と黒刃が交じり合い鍔迫り合いとなって火花を散らした。
鍔迫り合いとなってお互いに力で押しつけ合う、レイルも身体強化を全開にして応じるが制裁もレイルと互角の力で渡り合っていた。
「はっ、俺と力で渡り合うとはな」
制裁がそう呟くと鍔迫り合いを解いて首を狙って剣を薙ぐ、レイルはしゃがんで避けると同時に足に向けて剣を振るうが跳んでかわされる。
着地した瞬間に体勢を直したレイルが斬りかかる、制裁が振るった剣に弾かれるがすかさず次の攻撃へと繋げていく。
レイルの縦横無尽に斬撃を放つが制裁はひとつひとつを正確に捌いていく、刃がぶつかり合う音が絶え間なく謁見の間に響くが制裁がレイルの剣を左腕で受け止めた事で鳴りやんだ。
(この感触は！？)
剣を通して伝わる硬質な感覚に一瞬気を取られて動きが止まったレイルに制裁の剣が振るわれる、身を投げ出して床を転がる様に避けるが顔を上げた瞬間に制裁の蹴りが放たれた。
「ぐっ！？」
咄嗟に腕を交差させて『硬身』を発動させるが叩きつけられた蹴りは破城槌の如き威力となってレイルを壁際まで吹き飛ばす。
「魔剣術“黒時雨”」
間髪入れずに斬撃が放たれる、床を蹴って上に避けると『天脚』を使って一息で距離を詰める。
「竜剣術“崩牙”！」
「魔剣術“絶閃”」
黒い刃が再びぶつかり合う、周囲に黒い輝きと火花を散らし、ぶつかり合った衝撃が風となって吹き荒れ硬いものが削れる音を立てながら弾かれる様にして互いに床を削りながら距離を取った。
(…強いだけじゃない！やはり俺と同じく魔力操作の真髄をこの男は得ている…！)
そしてなによりも戦い方までレイルと同じなのだ、まるで自分と戦っている様な錯覚に襲われながらも剣を構えると…。
ピシリ…。
何かに罅が入る音が耳に届く、見れば制裁の仮面が先程の衝撃のせいか音を立てて罅割れていた。
半ばまでだった罅は音を立てながら広がっていく、やがて全体に罅が達した瞬間ガラスが割れる様な音を立てて砕け落ちた。
「はっ…ここまでやるたぁ少しは強くなったじゃねえか、レイル」
親しげな声を掛けながら砕けた仮面の下にあった顔が笑う、それは獣が獲物を見つけたのを想起させる笑みを持って向けられた。
その素顔にレイルとウェルク王は目を奪われる、何故なら…。
「師匠…？」
「ゼルシド…」
レイルにとっては道を示した存在であり、ウェルク王にとってはかつてなくした友であった男、ゼルシド・アーレウスだったからだ…。
これもバレバレだった気がするわ...
