7:セラの想い
焦れったいわぁ...
絞りだす様に紡がれた言葉が耳に響く。
「契約を続ける必要はない?私を巻き込みたくない?暴走して傷つけたくない?ふざけないで!!」
激昂したセラが声を荒げる、初めて彼女が見せた怒りにレイルは呆然としてしまう。
「私がレイルと一緒にいるのは私の目的の為なのは間違ってない、でもそれだけだったらとうに別れてる」
顔を押さえる手に力が篭る、間近で輝くアイスブルーの瞳は今にも溢れそうなほど潤んでいた。
「別れないのはレイルを独りにしたくないから、傍にいたいから…だから首輪を使ってでもパーティーを組んだ」
手が首へと回されて引き寄せられる、耳元にセラの吐息が当たる程近く抱き締められていた。
「奴隷になってでも傍にいたい…そう思えるくらい私はレイルが好きだから」
「…だけどこれ以上いたら俺はセラを」
「構わない」
レイルの声が阻まれる、より一層抱擁を強くしてセラは想いを言葉にする。
「レイルにならそういう事をされても良い」
「なっ…」
「我慢が出来なくなったら私を好きにして良い、竜の力が暴走しても私が止めてあげる、だから…」
まるですがりつく様に、倒れない様に腕に力を込める。
「傍にいさせて…これ以上独りにならないで」
「…どうして、そこまで」
分からなかった、どうしてセラがそこまで自分を想ってくれるのか。
レイルは確かにセラを助けたがそれだけでここまで尽くしてくれる理由が分からなかった、レイルにとってセラを助けられたのはただの偶然に過ぎなかったから。
「…私を助けてくれた時の事、覚えてる?」
「あぁ、でもあれは偶然間に合っただけで…」
「あの時のレイルの眼は昔の私と同じ眼だった」
「同じ眼?」
「誰かに期待する事を諦めた、生きる事に執着しなくなった眼をしてた」
そう言われて思い出す、セネクを斬ったあの時一瞬だけ自分の中で何かが切れた様な痛みが走った感覚があった。
「私はそれがどれだけ苦しいか知ってる、自分を守る為にそうならなきゃいけなかった辛さを知ってるから、見てみぬふりなんて出来なかった」
「レイルとパーティーを組んで、レイルと話す度にレイルの事ばかり考える様になった、好きだって気付いたら傷つくレイルを放って置けなくなった」
「傷ついても死にそうになっても、独りになっても誰かの為に怒れる優しいレイルに死んで欲しくないから…」
矢継ぎ早に想いが告げられる、どこかに行くのを阻む様に腕に力が込められる。
「私はレイルを独りにさせない、レイルが自分に優しく出来ないなら私が優しくする、だから…」
少しだけ力を緩めて再びセラはレイルと向き合う、そして…。
「生きて、傍にいさせて…お願い」
セラとレイルの唇が再び重なった…。
もうおっ始めさせて良いかな?




