表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/195

19:レイル対バスチール

剣士vs鎖男


傍らにいたリリアを一瞥すると手枷に繋がっていた鎖を断ち切る、それでも呆然とするリリアに感情の篭らない声で告げる。


「下がっていろ」


「…どう、して?」


目の前の事が信じられないというリリアにレイルは顔を向けずに答える。


「俺はもうお前がどうなろうとどうでもいい、ただアレッサに頼まれたから来た」


「アレッサさんに?」


「アレッサへの恩を返す、それだけだ」


きっぱりと告げて魔力を練り上げていると剣が淡く光ってレイルに語り掛ける。


(あの鎖、もしや聖具か?)


「?知っているのか、エルグランド」


(うむ、随分と()()()()()()()()())


そう語るエルグランドはどこか決別を思わせる声色でレイルに告げる。


(レイル、あれを破壊してくれ…あれはもはや本来の在り方を失った哀れな物だ)


「…了解した」


エルグランドと話し終えたレイルは殴られた頬を押さえながら立ち上がるバスチールに視線を戻す。


「…なんだ貴様は?業がありながら人の部分が少ない、分からない、感じられない、人の身のまま我等の域へと来たかの様な奇妙さは」


呟きながらも鎖をほどいていくバスチールは目に敵意を宿すと地面を踏み締める。


「されど貴様は敵と言った、我が儀式の邪魔をした、貴様が我を害する畜生の類いであるならば戒めねばならぬ」


拘束解除、という言葉と共におぞましい気配がバスチールから放たれる、それを受けてもレイルは乱れる事なく構える。


「…こんなものが儀式か」


レイルは周囲に散らばる死骸を見る、中には年端もいかぬ子供すら恐怖に顔を引きつらせて死んでいた。


「良く分かった、お前等とは分かり合えない」


剣を魔力で黒く染め上げてレイルはバスチールと相対した。





―――――


「理解を示さぬ畜生が、ならばその身に刻みこめ!」


鎖が空中を泳ぐ様に走る、レイルは強化した眼で動きを見切って避けるが鎖は蛇の様にレイルの周囲を円状に囲うと拘束せんと迫る。


その場で跳躍して避けると二本目の鎖がレイルに向けて槍の様に放たれる。


「単純だな」


天脚(てんきゃく)”を使って鎖を避けながら距離を詰めて真上から“崩牙(ほうが)”を頭に向けて叩き込むと鎖が巻かれた腕でバスチールは受け止める。


金属がぶつかり合う音が周囲に響き渡り、剣と鎖がせめぎ合うが均衡は早くも崩れた。


刀身に込められた魔力が鎖に吸収されていき“崩牙(ほうが)”が解除される、レイルは即座に距離を取るとバスチールの足に向けて“疾爪(しっそう)”を放つ。


バスチールは鎖を壁に突き立て、自身を引き寄せる事で斬擊を避けると鎖を交互に突き立てて壁と天井を高速で行き交う。


そして振るわれた鎖が風を裂いてレイルの背中に迫るが“天脚(てんきゃく)”を駆使して避けると眼でバスチールを捉えて“飛翼(ひよく)”を発動して迫る。


バスチールは次々と鎖を使って宙を移動するがレイルはそれに“飛翼(ひよく)”と“天脚(てんきゃく)”を駆使して縦横無尽に追いかける。


「ちぃっ!!」


バスチールが迫るレイルに向けて腕を突き出すと鎖がレイルに向けて螺旋状に放たれる、空中で蜘蛛の巣の様に広がる鎖を…。


「竜剣術『飛翼刃(ひよくじん)』」


剣の峰から魔力を放出させる事で加速させた剣撃で叩き落とす。


鎖が吹き飛ばされ、がら空きになった胴に袈裟斬りを振るうとバスチールの胸に一閃の傷が走る。


(浅い!)


そう判断したレイルは追撃を行おうとするが再び迫る鎖を避けて距離を取らざるを得なかった。


地面に降り立ったバスチールは傷を押さえて離れた距離に降りたレイルを睨みつける。


「貴様ぁ…!!」


バスチールが怒号と共に両腕の鎖をレイルに向けて射出する、それと同時にレイルは“飛翼(ひよく)”で自身を加速させながら走り出す。


迫る鎖を加速させた剣で弾き、いなし、潜り抜けながらバスチールへと距離を詰めていく。


「お前の鎖は魔力を吸収する、だが触れ続けなければ吸収できない様だな」


「!?」


向かう途中で取り出した解体などに使うナイフを鎖の輪の中に突き立てて地面に縫い止める。


「それに吸収するのは鎖だけでお前自身が魔力を吸収できる訳じゃない」


それによって片腕を引かれる様に態勢を崩したバスチールにレイルは蹴りを叩き込む。


「ごはっ…」


「竜剣術『天脚(てんきゃく)(しょう)』」


蹴り込まれた脚から魔力が放たれる、人を宙に浮かす程の威力を生み出す衝撃が腹に打ち込まれると衝撃音を響かせながら砲丸の様にバスチールは吹き飛び向かいの壁に土煙をあげて激突する。


「少しは身に刻み込んだか?踏みにじられる痛みってやつをな」


壁に叩きつけられたバスチールに向けてレイル

は意趣返しの様な口調で問いかけた。


腹で爆発起こされたら普通死ぬよな...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作書き始めました、良ければご覧ください。 侯爵次男は家出する~才能がないので全部捨てて冒険者になります~ https://ncode.syosetu.com/n3774ih/
― 新着の感想 ―
[一言] 口先だけの小物かと思ってましたけど流石に幹部クラスなだけあって強いですねバスチール。 まぁ多分コイツもアステラ同様人間をやめてる人外なんでしょうけど。 と言うかあの魔力を吸い取る鎖、聖具だっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ