4:大戦の真実
説明って難しい...
「魔王を生み出した、とはどういう事でしょうか?人魔大戦は人の手によって起こされたものだと?」
「その通りだ、バニス教団と呼ばれた異端派により魔王が生み出された事であの戦争は起こされた」
「…なら何故それが知らされてないのです?黄金級である私ですらバニス教団というものは聞いた事がございません」
シャルが当然の疑問を口にする、それを予期していたのかつかえる事なく返答する。
「真実があまりにもおぞましく、危険だからに他ならない」
告げられた理由は単純そのものだった。
「かつての戦争では魔王によって魔物が暴走したとなっているが真実は違う、人族の犠牲の大半はバニス教団の狂信者達と奴等が使役した魔物によるものなのだ」
「魔物を使役する…っ」
セラが反応する、彼女が会ったというアステラという女が同じ事をしていたからだろう。
「…将軍、質問をしても良いでしょうか?」
「構わぬ、私に分かる事であれば答えよう」
「バニス教団の目的はなんなんでしょうか?魔王を生み出すなんて世界を、下手すれば自分達だって諸共滅びかねない事をする理由が分からない」
レイルが発した問いにゾルガは渋い顔をする、しばしの間を置くと。
「バニス教団の理念、信仰とでも言うべきか…」
「信仰?」
「バニス教団は“魔物は神の怒りの具現であり、魔王とは神が降りる器である”という信仰を下に動いていた、そして40年前に世界にその信仰を実現させようしたのだ。
その結果自分達が魔物に殺されてもそれは神が下した裁きなのだとしてな」
「…そんな馬鹿げた信仰を」
「…40年前、私はまだ子供だったが今でも覚えてる…私の故郷の村を焼き払い、歓喜する奴等と魔物の群れをな」
ゾルガは眼を閉じて腕を組みながら呟く、取り返せない過去を思う様に。
「あの戦争に人族が勝てたのは英雄と言える傑物が5人も同じ時代に生まれたからと言っても過言ではない、だがその英雄も戦争で2人亡くなり、2人は未だに行方知れずのままだ…」
そう呟くとゾルガはこちらへと顔を向ける。
「英雄なき今、一人でも強き者が欲しい。
あの惨劇を繰り返さぬ為にも協力を頼みたい」
ゾルガはそう締めくくる、その眼には将軍としての責だけでなく彼自身の意思が輝いていた。
「…私は冒険者ですからそれが依頼というのであれば引き受けましょう、報酬はキチンと頂きますが」
「うむ、引き受けてもらえるならば掛かる費用はこちらで持つ、達成のあかつきには望むものを用意すると約束する」
セラが横目でレイルを見る、それに首肯で応じるとセラも答える。
「…私も受けます、どのみち私は狙われてるみたいですから」
「俺も受けます…彼女とはパーティーですから」
それにそれだけ危険な存在となれば当然の如く強いのだろう、それと戦える機会が得られるなら否やはなかった。
…それに早く街を出たい、セラを奴隷にした自分にどんな風聞が流れるかなど想像したくない。
「へぇ、あの氷華の魔女がパーティーを組んだか」
レイガスがニタリと笑いながら発言する、それにシャルが続いた。
「そう言えば有耶無耶になってたけど君がセラちゃんと組んだ理由を聞いてなかったね?出来れば経緯含めて詳しく聞かせて欲しいかなぁ?」
…どうやら誤魔化したりは出来なさそうだ。
―――――
「なるほどねぇ…」
話し終えるとシャルはそう呟いてレイルを見る、観察されてる様で些か居心地が悪い…。
レイガスはニヤニヤとしながらこっちを見ているしゾルガに至ってはどこか夢を語る少年を見る様な暖かい目で見てくるのもそれに拍車を掛けていた。
「君は最強の剣士になろうってことか、ならさ…」
そう言うとシャルは立ち上がり。レイルを見続けたまま告げる。
「私と戦ってみない?古竜を倒したっていう君の実力見てみたいしね?」
次回ようやく戦闘




